RECORD

Eno.34 笛理 彗昴海の記録

崩れゆく双星の足搔き

笛理 紡義。
最近は名前を確認しておかないと、自分を妹と勘違いしそうになって危ない。
イコール、アレは遠くない、という事でもある。
端的に、"現状"と"計画"を此処にまとめておく。
この手紙は、ひとまずはあなた以外に見せないでほしい。
神秘が知れ渡り弱まることは、僕の存在を弱めることに繋がる。
その結果は、想像に易いだろう。

まず、貴方は知っているだろうけど。
今の僕…「笛理 紡義」は、死んでいる。原因は怪奇による殺傷。
だが、僕は神秘に触れたことで神秘を得たんだ。

その死体に彗昴海が触れたことで、彗昴海もまた神秘に触れ、
今の能力…「輝星同盟エトワールアライアンス」が発現した。

当時制御できなかった彗昴海は…
その力で、彗昴海自身と残留していた僕の魂と神秘との繋がりを強めすぎた・・・・・
結果、彗昴海と僕は互いの繋がりを断ち切れなくなり、
"笛理彗昴海"という肉体には僕:"紡義"と"彗昴海"が同居している状況になった。

で。それからウン年。

最近は、互いの魂が互いに及ぼす影響が強まりすぎている...
そのせいで、僕たちは自我も命も危うい状態にある。

当初、僕は"何らかの方法で自らが消えること"でこれを解消しようと考えていた。
僕は死んでいるわけで、それが正しい形だと。

ただ、そうもいかなくなった。ここ数日でちょっと、こっちに残りたい理由を作りすぎた。

そこで、二人で必死に考えた方法が一つある。
僕と彗昴海を、互いの神秘ごと分離する。
方法は…僕の神秘を使う。

あれから僕たちは強くなって、神秘自体もそれを扱う力も強くなった。
上手くいけば、僕は怪奇として独立した存在になれるかもしれない。

…問題は、上手くいけばの話ってこと。
ミスをすれば、どちらかの命が危ないことだってありうる。
明確に、妹の命が危険に晒される。それは嫌で、断り続けてきたけど。

僕も死にたくない。妹も死なせたくない。
どっちもが助かる方法は多分これしかない…
少なくとも僕たちの脳ではこれ以外捻りだせなかった。

僕達は、やるよ。
近く決行する。安心してほしい。まずかったら助けは呼ぶ。
僕達には頼れる仲間がいる。だからきっと、大丈夫。