RECORD
Eno.95 黒江の記録
1_十年前の、
ある日、物心ついた頃、不思議な光に触れられるようになった
後になって、それが神秘であると父親に伝えられた
どうやら家族は神秘からみんなを守る仕事をしているらしい
その家でボクは落ちこぼれで、両親はボクよりも凄い人に未来を託していた
でも、そんなボクにも唯一手を差し伸べてくれる人がいた
黒い三つ編み姿で、背が高くて、青いリボンと黒い制服の似合う人だった
優しい人だった
美しい人だった
大切な人だった。はずなんだ
十年前で時が止まっているなんて些細な事だと思う程に
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その人とボクはいつも通り学校を終え、一緒に帰っていた
気付いたら空が■色になってて、全部が逆さになってて
視線を戻すとそこには、黒い制服の女の子が真っ黒な瞳でその人を見つめていた
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『鮟呈ア溽ォ句、上♀蜑阪&縺亥ュ伜惠縺励↑縺代l縺ー』
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『縺雁燕縺梧ョコ縺励◆莠コ髢薙〒縺吶h』
『蠢倥l縺ヲ縺励∪縺」縺溘s縺ァ縺吶°』
始めて見た怪奇は、その人が信じられない物を見るような目で見ていたところを
『谿コ縺励∪縺励◆』
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暗く染まった視界から元に戻ると、その人の背中が見えた
ボクは混乱してたのもあって無邪気に駆け寄って
怪奇に右目を潰された
『……』
『聞こえますか』
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右目に痛みは無い。ただ、この怪奇だけが見えるのが気持ち悪い
『あぁ、聞こえるんですね。よかった。これでもう私ひとりじゃない』
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『ごめんなさい。話が出来るのが嬉しくって!』
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『君の事をこの身体経由で知りました』
『落ちこぼれだから家族に期待されない日々、強がってましたがとても辛そうだった』
『だから、私の力を貸してあげます』
『私の事を誰にも話せない代わりに、もう君は“落ちこぼれ”じゃなくなりました』
『君の■には……そうですね。見ての通りですよ』
『皆様の記憶から、存在を消したりもしましたが……些細な事ですね』
『大丈夫。君もいずれ忘れて行きますよ』
そう言って怪奇が笑う顔が、あの人の笑顔だったかのように見えてきて
怪奇の喋る声があの人の声だったかのように聞こえてきて
『忘れるまでが苦しい時は、私の授けた力を使ってください』
『きっと楽になれますよ』
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怪奇の去った後、ボクはせめてもの抵抗か、地に落ちた青いリボンを拾って髪に結った
そんな強がりは、あの人の痕跡が消えた我が家を見て、学校を見て、少しずつ薄れて行くような気がして
せめてもとあの人の事を話そうとしても何もしゃべれなくて
それでも、ボクは
原型をも失った壊れた時計を抱きしめたまま十年の時が過ぎた
後になって、それが神秘であると父親に伝えられた
どうやら家族は神秘からみんなを守る仕事をしているらしい
その家でボクは落ちこぼれで、両親はボクよりも凄い人に未来を託していた
でも、そんなボクにも唯一手を差し伸べてくれる人がいた
黒い三つ編み姿で、背が高くて、青いリボンと黒い制服の似合う人だった
優しい人だった
美しい人だった
大切な人だった。はずなんだ
十年前で時が止まっているなんて些細な事だと思う程に
「■■ちゃん?」
その人とボクはいつも通り学校を終え、一緒に帰っていた
気付いたら空が■色になってて、全部が逆さになってて
視線を戻すとそこには、黒い制服の女の子が真っ黒な瞳でその人を見つめていた
「■■ちゃん、アレが“怪奇”?」
『鮟呈ア溽ォ句、上♀蜑阪&縺亥ュ伜惠縺励↑縺代l縺ー』
「え?」
『縺雁燕縺梧ョコ縺励◆莠コ髢薙〒縺吶h』
『蠢倥l縺ヲ縺励∪縺」縺溘s縺ァ縺吶°』
始めて見た怪奇は、その人が信じられない物を見るような目で見ていたところを
『谿コ縺励∪縺励◆』
「■■ちゃん! 倒したんだね、怪奇を!」
暗く染まった視界から元に戻ると、その人の背中が見えた
ボクは混乱してたのもあって無邪気に駆け寄って
怪奇に右目を潰された
『……』
『聞こえますか』
「ボクに何をした?」
右目に痛みは無い。ただ、この怪奇だけが見えるのが気持ち悪い
『あぁ、聞こえるんですね。よかった。これでもう私ひとりじゃない』
「話が通じない……」
『ごめんなさい。話が出来るのが嬉しくって!』
「もう一度聞くよ。ボクに何をした? ■■ちゃんに何をした!?」
『君の事をこの身体経由で知りました』
『落ちこぼれだから家族に期待されない日々、強がってましたがとても辛そうだった』
『だから、私の力を貸してあげます』
『私の事を誰にも話せない代わりに、もう君は“落ちこぼれ”じゃなくなりました』
『君の■には……そうですね。見ての通りですよ』
『皆様の記憶から、存在を消したりもしましたが……些細な事ですね』
『大丈夫。君もいずれ忘れて行きますよ』
そう言って怪奇が笑う顔が、あの人の笑顔だったかのように見えてきて
怪奇の喋る声があの人の声だったかのように聞こえてきて
『忘れるまでが苦しい時は、私の授けた力を使ってください』
『きっと楽になれますよ』
「…………」
怪奇の去った後、ボクはせめてもの抵抗か、地に落ちた青いリボンを拾って髪に結った
そんな強がりは、あの人の痕跡が消えた我が家を見て、学校を見て、少しずつ薄れて行くような気がして
せめてもとあの人の事を話そうとしても何もしゃべれなくて
それでも、ボクは
原型をも失った壊れた時計を抱きしめたまま十年の時が過ぎた