RECORD

Eno.102 不明門通 辰巳の記録

【日記17】誕生日の話







誕生日がまた巡って来た。兄貴の居ない誕生日が。






「辰巳、誕生日おめでとさん」


「おおきにねえショウ兄!」


「辰巳くんはいくつになったんかな~?」


「16ちゃい~!」


ダァアー!いつまでやんねんそれ!
 小学校終わったあたりでやめてくれって
 俺ちゃんと言うたやん!」


「ええやないの細かい事気にしなや。
 そんで欲しいモン決まったか?」


「ゲーム!」


「代わり映えせえへんなあ。
 毎年それやないかい」


「そないな事言われてもなあ。
 言うて昨今のゲーム高いねんで~?」


「そら知っとるけども。
 ……なあ辰巳。お前……
 本当に・・・欲しいモンは無いんか?


「───あるよ」













あるけど、俺の本当に欲しいモンは。
ショウ兄には絶対に用意できひんやろ?












「お誕生日おめでとうございます。
 若旦那様」


「ありがとう、ミケ」


「しかしこう、なんだろうな。
 怪奇となって随分経つんだから
 もう誕生日なんて祝わなくたって……」


「若旦那、オ誕生日オメデトー!」


「ついこの間元服したというのに
 日が経つのは早いですわね。
 おめでとうございます」


「俺達からしたら赤子みたいなモンなのに
 偉いよなァ、お前さんはしっかり者でよ。
 すくすく大きくなるんだぞ若旦那」


「…………」


「若旦那様。
 せめてまだ人間として身のあるうちは、
 こうして毎年お祝いさせて下さいな」


「───そうだな」