RECORD

Eno.251 鳴宮優希の記録

【11.くちづけはりんご味】


──今日は、夏祭りだ。


「……きみに、想いを伝える日」


 きみと一緒に行った古着屋で選んだ着物着て、
 きみと一緒に行った雑貨屋で選んだヘアピンつけて、
 つかさに教わったお化粧もして、
 とびっきりのかわいい自分で、祭り会場に行ったの。

 似合ってるって言ってくれた。
 きみは、かわいい“わたし”も肯定してくれたよね。

 ふたりでりんご飴買って、
 わたあめとチョコバナナを食べて、ラムネを飲んで。
 そうやって楽しく過ごしていたら、

──花火が、上がった。


 花火が上がったのなら。
 決めていたの。

「わたし──
きみに恋しちゃったみたいなんだ、よ」


 言っちゃった、言っちゃった。
 りんご飴かじって、きみの唇を啄んだ。
 恥ずかしい? 照れくさい?
 だけど、もう止まれない。

「……すきだよ」


 返事を待って欲しいと言われた。
 わたしはいつまでも待つつもり。
 だけどいつか必ず、答えを聞かせてね。

 わたたする奏翔は、いつもと違う雰囲気。
 かわいいなんて思ったことは、ちょっと内緒。

 わたしの“好き”は奏翔だった。
 奏翔が知りたいと言ってくれた“好き”は、
 きみになったんだ。

 あぁ、だけれどわたしのこの感情がきみの邪魔になるならば。
 わたしはいつでも、身を引くつもりだから。
 それでも、“親友”ぐらいにはならせて欲しい。
 きみの隣に居たいと願うのは、

「……ワガママ、かな」