RECORD

Eno.76 九条瑚白の記録

無題

もう何度目になるか分からないアオイさんへのお説教。

…というにはそんなに言葉も荒げないただの対話なのだけれど。
気が付けばあの人は地下鉄で怪奇と戦闘をしているのは何故かはわからない。
本人に聞いてもわからないとしか返ってこない。
…無意識だろうか

今もこうやって僕のベッドの前で正座して申し訳なさそうな顔でこちらを見ているけどそんな顔をさせたい訳でもない。してほしい訳でもない。

人の感情って難しいな…

「….すいません、いつもご迷惑をおかけしてしまって」
「迷惑だとは思っていないよ、ただ本当に気をつけてほしい。一人で彷徨いているのは流石に不安ではあるけども」
「…いえ、本当にこればっかりは僕の不注意です。怪我までさせてしまいましたし」
「……….はー」

腹が立つ。
アオイさんのデバイスを見ても『あの少女』が不服そうなこちらを見てきてはアオイさんには気遣うような目を向ける。
これじゃこっちが悪者みたいじゃないか。

「…アオイさん」
「?」
「ちょっと顔近付けて」

きょとんとしつつも素直に顔を寄せてくれるアオイさんの頭をいつものように抱き寄せてそのまま頭を撫でる。そしてそのまま頬に触れるだけの口付けを落としてあやせば服を掴んで甘えてくる。
….黒もこれだけ可愛げがあれば良いのだけど。
そんなことをぼんやりと考えながらも画面向こうから睨みつけてくる少女を鼻で笑い、挑発するまでがいつもの光景だ。あーもう、いっそ…

「そうやって見てくるくらいならせめてこっちに出てきて物申したらどうだい?」

「瑚白さん?」
「んーん、何でもないよ。ほら早く部屋に戻って休みなさい。おやすみ」