RECORD

Eno.95 黒江の記録

5_再会

「私が目の前で引きずり込まれた? そんな馬鹿な」


 静空……今は七曜を名乗っているらしい。は呆れたような声で言った
 今まで話そうとすると一部が話せなかったが、七曜には殆どを伝えられた

「そもそも私と黒江くんの住んでた街も学校も違うし、
 一応君と会う前にカレント? の社長さんから色々聞いてはいたけど……」


 住む街と学校、所属してる組織の話が食い違う以外は、俺が高校二年生の春に出会い、失った静空そのものだった

「……並行世界ってのは、よくある話だからいいけどさ」


「よくあるんだ」


「異界を旅してるとしょっちゅうだよ。同じような世界でも
 自立式ロボットが一般家庭に普及してたり、科学が迷信となって神秘が発達していたり」


 七曜はくすりと笑いながら、色々な話をしてくれた

「……つまるところ、私は一人で海に行った後、
 波に攫われて変な島に漂流した後故郷へ帰ったわけだ」


「そもそも二人で行ってなかったんだ」


「誘おうかなとも思ったけど、センチメンタルに浸りたい気分だったんだよねぇ」


「まぁ、それで静空が助かったなら……いいか」



「昔話終わり! 次は黒江くんの番だよ」


「俺!?」


「きっと、たくさんの女の子口説いてデートしたんでしょ。青春だね~」



「……静空がいなくなってから、そういうのは全くしてなかった」


「高校生の頃は色々な女の子口説いてた癖に!?」


 そんな信じられない顔をしないでくれ

「誰かと仲良くなったらまた、
 あの怪奇に奪われるんじゃないかって思うと、怖くて──」


 七曜は大きなため息を零す暇も無く、俺の頬を強く叩いた

「……どいつもこいつも・・・・・・・・、なんで残された奴って自分を責めるの!?
 自分が代わりに死ねばよかったとでも思ってるわけ!?」


「……」


「しかも、現世に遺された髪飾りを整えるだけならまだしも、
 私の痕跡までご丁寧に瓶詰してるし」


「そ、それは……」


「どうしてこうも親友を目の前で失った人は遺品を肌身離さず付けたがるのか……」


 大きなため息を零し、でも俺の頬を撫でながら寂しそうに続けた

「……でも、そうだね」



「まずはその武器見せろ。
 絶対異能と併用して内部構造ズタズタになってるから!」


「あと、この通り北摩? の事なんもわかってないから。案内頼んだ!」