RECORD

Eno.46 篠目 樹の記録

salvation 2

かなり昔、小学生の頃。
俺は今よりクソガキで生意気で感情的だった。周りも似たり寄ったりで意気投合もすれば喧嘩もした。何だかんだで上手くやれてたと思う。
けど、一度だけかなり大事になった喧嘩をしてしまった。切っ掛けは小学校の同級生にマザーと教会の事を莫加にされた事、相手からすれば何気無かっただろう揶揄いを俺は我慢出来なかった。
結果だけ言えば、双方悪いという事になって収束した。子供の喧嘩、本気で殴り合ったから顔を腫らして教会に帰った。叱られるだろうからなるべく時間を掛けてゆっくりと。
教会の扉を開ければマザーが待ってた、そして何も言わずに俺を抱き締めて泣いた。ただずっと、『ごめんね』って言って泣いていた。
そこで初めてしてはならない事をしでかしてしまったのだと気付いて一緒に泣いた。
そこからずっと、暴力からは距離を置いていた。



──────


選んだ得物はナイフ。
理由は隠し持ちやすくて俺の神秘で振り回せるから……だけじゃない。
人を狙うだけの存在の怪奇と言えど、彼らは生きている筈だ。それを此方の事情で倒すのだから───

[ヤッホー横丁][新月夜店通り] 2025-06-08 09:52:45 No.1364995
攻撃:
30


───刃で斬り付ける感触を知らないままで居るのは不誠実だと思ったから。
だからナイフを選んだ。今でも斬り付けたときの厭な感じを覚えている。それで良いと、それが良いと自分で選んだ。

選んでしまって……考える。
もし、物知りで立派な後輩が、背の低い優しい先輩が倒すべき怪奇となってしまったら、と。
ナイフを光に翳して考える。
もし、自由意思も理性も、道徳的判断力も奪われて怪奇になっていたとしたら……
屠ることが救いなのだろうか。