RECORD

Eno.1095 千花 律太の記録

音声ログ2

五年以上前の音声記録のようだ。


-再生開始-



担当職員K(以下K)「……念のため、確認させていただきます。【石丸 吟】氏とは、正式に絶縁済みとの認識でよろしいでしょうか」

石丸家代表■■(以下■■)「ええ。あの子のほうから、絶縁状を叩きつけて出ていきました。こちらから縁を戻すつもりもありません」

■■「それで――"千花"くん、で合ってましたでしょうか。吟の息子らしいと聞きましたが」

K「……はい。神秘保有の兆候が確認されております。事前にお渡しした資料のほか、必要とされる情報がございましたら――」

■■「結構です」

(数秒ほどの沈黙。)

■■「吟はすでに家のものではありません。絶縁した女の腹から生まれた子など他人と同然です。
   外の血が混ざった人間なら尚更。……身内扱いする道理は、家にはありません」

K「……たとえ、その子が神秘を有している可能性が明らかになったとしてもですか」

■■「……そちらの皆さんは既にご存知でしょうが、石丸家は祈祷を本業とする家です。
   けど、その祈りは単なる術やありません。信仰としての筋が通って、初めて力を持つものです。
   逆に問いますけど、血筋が怪しげな子を家に入れて"由緒"が守れると思います?」

■■「見ず知らずの外の子を家に招いて、"御国の神"やら"家系の伝統"やらを語るようになったら、
   それはもう…信仰やなくて、ままごとです。うちはその程度の覚悟で家を継いだのではありません」

■■「この家の者は生まれながらに神秘と共に生きてきました。だからこそ、"間違い"はひとつも許せんのです。」

■■「仮に一度でも間違いを受け入れて、それで信仰が崩れ出したら……
   この家の誰もが、裏の世界から身を守る術を失います。それがどういう意味かわかってはるでしょう?」

(椅子から立ち上がる音。)

■■「……ですからその子は、我が家には関係ありません。然るべき判断はそちらの御裁量にお任せいたします。
   その子が起こした事象に石丸家は一切関知いたしません。責任を負う理由も、筋もございませんので。
   ――お話は、以上でよろしいですか?」



-再生終了-