実家には人間はいなかった。
正確には、人間の皮を被った猿みたいな化け物のようにしか見えなかった。
俺は、アイツらを人間だと…家族だと思えない。
毎日変な祭壇の前で祈ったり、奇声を上げたり、変な動きをしたり、捧げ物をしたり。
食べる物だって人付き合いだって、睡眠時間さえも制限された。
おかげさまでまだ癖が抜けないんだ。
俺は何れ
“宇宙に成る”らしい。
ずっと聞かされて来た言葉は耳にタコが出来てしまった。
宇宙の依代として、何れ成るそうだ。
そのせいなのか、宇宙に成りたいと思ってしまう。どうしようもなく。
俺は、そんなの嫌なのに。
嫌な筈、なのに。
成りたいと思ってしまうんだ。
俺が居なくても誰も困らないさ。
嬉しがる奴らは沢山居るだろうけど。
ああ、誰か…助けて。
誰か、俺を必要として。
誰かに必要とされたいよ。無理なのにさ。
宇宙の依代に成らなくてもいいくらいに、必要として欲しい。
私が居るじゃないか。大丈夫だよ。
誰にも…奴等にも、渡すつもりはないからね。
ずっと、私の元に居たら良いさ。
私の、私だけの宇宙。