RECORD
Eno.600 御子柴 銀次&ベコ丸の記録
昼白色
子供は懲りずにまた来た。
何日も何日も、ほぼ毎日だったかもしれない。
犬はゴミこそ食べているが、『人』となると少しは選別する。
食べてもまずい、薪にならない個体は対象外であった。
足で踏みつぶすか尻尾で振り払うか、どれかをしようとしたがなんとなく調子が狂うというのだろうか。
今まで畏怖の目線しか受けてこなかった犬に、親し気に接してくる個体が初めてだったのだろう。
犬が知らない表の世界のことを楽しそうに話す子供。
うっかり犬に触れてしまって火傷をする子供。
犬はひたすら『めんどう』と思っていたかもしれない。表の世界に行けば自分ですら力は落ちてしまうし、今の自分がどうなってしまうのかがわからなかった。
けど、きっと『化け物』と言われて討伐されてしまうのだろう。
裏の世界で、螺千城という一つのエリアにとどまっているからこそ犬は『ベコ丸』として一つの立ち位置にいられる。
狭まり行く裏の世界しか、犬には居場所がないのだ。
犬は別にみじめとか思わないが、表が楽しいなら表に帰ればいいのにとは思う。だから言った、
『家に帰れよ』
その時子供がどういう顔をしていたのかはわからない。だって犬には目がないから。
けど、黙ったのは確かで、その時静寂が場を包んだのは覚えている。
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楽しい。
そういわれたのは初めてで、楽しいの意味がよくわからなかった。
犬は別に子供の話に相槌をうつでもないし、話題を提供したこともない。今のように素っ気ない言葉か反応しか返していないのだ。
変な子供。
好きにしたらいい………子供の話を聞くふりをしながら、犬は寝た。
何日も何日も、ほぼ毎日だったかもしれない。
犬はゴミこそ食べているが、『人』となると少しは選別する。
食べてもまずい、薪にならない個体は対象外であった。
足で踏みつぶすか尻尾で振り払うか、どれかをしようとしたがなんとなく調子が狂うというのだろうか。
今まで畏怖の目線しか受けてこなかった犬に、親し気に接してくる個体が初めてだったのだろう。
犬が知らない表の世界のことを楽しそうに話す子供。
うっかり犬に触れてしまって火傷をする子供。
犬はひたすら『めんどう』と思っていたかもしれない。表の世界に行けば自分ですら力は落ちてしまうし、今の自分がどうなってしまうのかがわからなかった。
けど、きっと『化け物』と言われて討伐されてしまうのだろう。
裏の世界で、螺千城という一つのエリアにとどまっているからこそ犬は『ベコ丸』として一つの立ち位置にいられる。
狭まり行く裏の世界しか、犬には居場所がないのだ。
犬は別にみじめとか思わないが、表が楽しいなら表に帰ればいいのにとは思う。だから言った、
『家に帰れよ』
その時子供がどういう顔をしていたのかはわからない。だって犬には目がないから。
けど、黙ったのは確かで、その時静寂が場を包んだのは覚えている。
「帰りたくないんだ」
「兄ちゃん怖いし」
「父さんも母さんも相手してくれないし」
「ベコといる方が楽しい」
楽しい。
そういわれたのは初めてで、楽しいの意味がよくわからなかった。
犬は別に子供の話に相槌をうつでもないし、話題を提供したこともない。今のように素っ気ない言葉か反応しか返していないのだ。
変な子供。
好きにしたらいい………子供の話を聞くふりをしながら、犬は寝た。