RECORD

Eno.345 天海矢 譜律の記録

目が良くなるのはきっといいことです

僕は弱い存在だから、群れの中でしか生きていけません。
だから僕を庇護してくれる勢力に綻びが出ないよう、
秩序を乱さず調和を守っていく、良い子である必要があるわけですね!
生まれが恐らく悪魔と言ってもプライドが無ければこんなもんです!!

ただ、良い子であろうとして
「自分を優先して他者が傷つくのを捨て置くのは道徳に反する」
って旨の言葉を口に出した時。
不意に思い出したんです、僕は昔はひとを見捨ててばかりでした。

でも、きっと、仕方なかったことです!
僕のことを本物の天使と勘違いして助けを求めてきた幼い姉弟きょうだいに背を向けたのは、
助けようとしたところで結果は何も変わらなかっただろうからです!
処罰はもう決まってたことだから、僕があるじに差し出口したところでもっとご機嫌を損ねてただけです!
僕一人だけでも手を差し伸べてれば、二人はあの後自刃しなかったのかな。

僕の密告がきっかけで罰を受けることになった労働仲間のこともしょうがありません!
反乱の意思を持つ者を見つけたら報告しろって決まりでしたからね! 僕は決まりを守っただけです!
それに強者に弱者が歯向かったところでただ淘汰されるのが落ちでしょう?
無駄な血が流れるのを未然に防いだと言ってもいいですよ!
結局彼らは痛めつけられた時の傷がたたって死んじゃったけど。

秩序を守っただけだから、場の調和を乱さなかっただけだから、僕は悪くは……
……少し前なら、僕は悪くない、正しいことをしたって言い切れました。

でも表世界の学校に潜り込んで色々な心の在り方を知ってから、
僕の目に映る世界は段々と彩りを増していきました。
振り返ればあの頃周りにあった悲哀や苦痛、死の重みが鮮明に見えるようになってきてて。
仕方なかったはずのことなのに、僕の中に罪があるように感じられてきて興味深い苦しいです!

こういうの、視野が広がるっていうんですよね? きっといいことです!
目がよくなるってなんて素敵なんでしょう辛いんだろう
これからますます世界は鮮明になるのかもしれません! 今から楽しみですね恐ろしい