RECORD

Eno.563 志水 悠生の記録

汝自身を知れ

「う~ん」



普段は一つに束ねている髪を下ろし、一本一本を毛先まで意識してアイロンとコテを当てる。
後ろ髪はアップにしつつ、高校生の時よりも伸びた前髪を後ろとサイドにやり、ナチュラルに仕立てる。
前髪に気持ち程度にアイロンを当てて瞬時に流し、髪の流れをふわふわと。
更に調節するために前髪へ僅かにハサミを入れて整える。
美容室で働く友達から教わったことを復習しつつ、己自身で己を磨く。
無骨な刀とて、研磨すれば艶やかな刃にもなる。
誰に見せるわけでもない、誰かに見せたいわけでもない。
己の研鑽は承認欲求のためではなく、自己肯定感を上げるため。

「……よし、良いかも」



だからほら。
あたしはこんなにも明るくて綺麗で、可愛いんだ。