RECORD
Eno.1461 篠崎 駿の記録
これからの俺
ガレージの薄暗い灯りの下、窓から漏れる街灯が床に揺れる。俺の目の前には埃だらけのギターケース、2年間触ってない。指が触れると、胸が締め付けられる。震える手で久しぶりにケースを開ける。
埃の匂いと傷だらけの黒いボディ。弦は錆びていた。紫陽花のピック、ケースの隅に転がってる。優がくれたやつ。
手に取ると、温かい。優の笑顔、彼女のハミングとギターの音。あの日の思い出が溢れる。彼女は俺の練習をいつも見ていた。
彼女の優しい瞳が温かかった。ギターを手に取ると心臓がドクドク鳴りうるさかった。
ギターを持ち上げる。過去が、俺を飲み込む。
初めてギターに興味を持ったのは中学生の頃だった。
音楽室のギター、弦が今にも切れそうなボロボロのギターだった。
初めて弾いた時、指がものすごく痛かった。でも、音が響いた瞬間に胸が熱くなった。ギターが俺を表現してくれる。そう思った。
家に帰って父さんにギターが欲しいと言ったら、中古のギターを持ってきた。
父さんが学生の頃に使ってやつらしい、父さんが久しぶりに楽しそうな表情だったのがなんだか嬉しかった。
その夜から部屋で練習をし続けた指にタコできてもひたすらに弾いた。ギタリストになる。それが俺の夢だった。
高校生の頃に優と出会った。文化祭の時、俺はギター弾いた。
拙い演奏、でも魂込めた。彼女は客席の隅でじっと見てた。終わった後、近づいてきた。
「駿君のギター、かっこいいね」って彼女の笑顔が太陽みたいに眩しかった。優は同じのクラスの静かな子って印象だったけど話すと、すごく温かかった。
放課後、公園のベンチで練習した。優はただじっと見てた。演奏はまだぎこちなかったけど。優は笑った。
「駿君、頑張ってるね」そう言って彼女は紫陽花のピックをくれた。
「これ、持ってて」
手に持つと、彼女の温もりが染みた。照れた。優、ハミング。夏の風、彼女の髪、揺れる。プロになる夢を話した。
「ライブハウス、大きいステージ、君と一緒に見たい」
優、目をキラキラさせて、「駿ならできるよ」俺を信じてくれた。その日から優は俺の光だった。
17歳の頃、段々と夢に近づいてた。ギター、上手くなった。公園の練習、優が見守る。彼女はいつも応援してた。
「駿の音、好きだよ」
俺、ギター抱えて笑った。未来は、夢は、すぐそこだった。
でも、あの日の忌々しい事故が全部奪った。夏祭りに向かうの夜にバイクで優と走ってた。
信号無視の車が俺たちに衝突してきた。右手に激痛が走った後にぼやける視界の中に血まみれの優の姿が見えた、俺は彼女に必死に手を伸ばしたけど意識が途切れた。
目が覚めると病院に居た。包帯まみれで体の至る所が痛かった。医者が冷たい声で言った
「右手の神経がやられています。細かい動きは難しでしょう」
心臓が止まったみたいだった。隣のベッドに目を移すと優の名前があった。急いで駆けつけた。彼女はベッドの上で、弱々しく横になっていた。
彼女の顔は白くなって。目は半開き。俺は彼女の手を握ると彼女の手は冷たかった。俺は青ざめた昔、母さんが死んだ時と同じだった。
優が俺の姿を見た瞬間に安心した様な顔になった後に言った。
「駿…困ってる人を助ける…優しい人のままでいてね」
彼女は弱々しい声でそう言った後に微笑んだ。
次の瞬間にモニターが止まった。心電図のピーッて音が鳴り響いた。
俺はひたすらに叫んだ。
「優! 嫌だ!死なないで!君が居ないと俺は!」
医者とナースは俺を押さえた。優はもう動かない。俺は彼女の手を必死に握り続けた。冷たい彼女の手を握る血だらけの俺の手が震えた。
優が死んだ。優の最後の言葉が耳に残る。
俺は病院を飛び出した。雨が降りしきる街は暗かった。優と一緒に通った道を走った。
「なんで俺が、優が、こんな目に遭わなきゃいけないんだよ! なんでだよ!!」
叫び声が雨に消える。思い出を追いかけた。手を伸ばすけど届かなかった。幻影が消えた。
彼女の笑顔、紫陽花のピック、彼女との思い出が全部消える。俺は崩れ落ちた。アスファルトが冷たい。雨が俺を叩く。
「返してくれよ…俺の夢を…優を…返してよ…」
そう呟いた後に叫んだ。喉が裂ける程叫んだ。
けど、誰も答えない。答えてくれない。優がいないその一つ真実だけが俺の心を締め付けた。
あの時の事を思い出した後。俺はレスポールの埃を拭いた後、チューニングを行った。音は濁ってるど、心に響く。左手の指でGコードを押えた。懐かしい形だった。右手には紫陽花のピックを握る。優の笑顔が頭に浮かぶ。
ストロークの音がぎこちなかった。あの頃の夏の公園と優のハミングを思い出し胸が熱くなる。
優が好きだった曲、簡単なリフ。弾きながら目をつぶる。優が隣にいてくれた夏、ギターは俺の声音が魂が弾ける。あの頃の夢が戻ってくるそう思った。
でも、現実はそう甘くは無かった右手が突然震えた。握っていたピックが滑り弦を掠る。
音が乱れる。コードが押さえられない。
指が動かない。震えが止まらない。ピックが床に落ちた。その音で心臓が締め付けられる。
やっぱりか…分かってた。この手は2年前から裏切ってる。医者の言葉が脳裏に響くやっぱり、ダメか。
弾けるわけがないって分かってたのに、どこかで、弾けるって信じたかった。ギターを膝に置いた後顔を両手で覆った。息が詰まる。
悔しくて胸がえぐられる。優、ごめん。やっぱり俺、ダメだった。あの時の俺、優と笑ってた。
公園でギターの練習してる俺を見て優は俺の夢を信じてた。
でも優は死んだ。右手もまともに動かない。ギターが弾けない。その事実に涙がこぼれる。
優がくれたピックが床に転がる。
優の目を思い出す。公園で俺のギターをじっと見てた。幾ら失敗しても、彼女の笑顔に俺は救われていた。
優の言葉が胸に刺さる。優しい人でいなきゃ。
優を失い夢も失った。でも、優の言葉だけは失いたくない。
花の絵とピックのコースター。優が愛した物を守りたい。
夢は死んでいても、優の想いは生きてる。
立ち上がり紫陽花のピックを拾うとなんだか温かい。ギターはケースに戻さずガレージの隅に置いた。
いつかもう一度だけ弾く為に。夢が叶わないのは悔しいけど、許す。
あの時の俺は死んだけど。今の俺は生きてる。だから優の最後の願いを守る。
ギターが弾けなくても、音は心にある。優の笑顔も俺の中で生きてる。
事故の傷を見て嘲笑う。負けない。負けるわけにはいかない。
なぁ…優…見ててくれ。これからの俺を
埃の匂いと傷だらけの黒いボディ。弦は錆びていた。紫陽花のピック、ケースの隅に転がってる。優がくれたやつ。
手に取ると、温かい。優の笑顔、彼女のハミングとギターの音。あの日の思い出が溢れる。彼女は俺の練習をいつも見ていた。
彼女の優しい瞳が温かかった。ギターを手に取ると心臓がドクドク鳴りうるさかった。
ギターを持ち上げる。過去が、俺を飲み込む。
初めてギターに興味を持ったのは中学生の頃だった。
音楽室のギター、弦が今にも切れそうなボロボロのギターだった。
初めて弾いた時、指がものすごく痛かった。でも、音が響いた瞬間に胸が熱くなった。ギターが俺を表現してくれる。そう思った。
家に帰って父さんにギターが欲しいと言ったら、中古のギターを持ってきた。
父さんが学生の頃に使ってやつらしい、父さんが久しぶりに楽しそうな表情だったのがなんだか嬉しかった。
その夜から部屋で練習をし続けた指にタコできてもひたすらに弾いた。ギタリストになる。それが俺の夢だった。
高校生の頃に優と出会った。文化祭の時、俺はギター弾いた。
拙い演奏、でも魂込めた。彼女は客席の隅でじっと見てた。終わった後、近づいてきた。
「駿君のギター、かっこいいね」って彼女の笑顔が太陽みたいに眩しかった。優は同じのクラスの静かな子って印象だったけど話すと、すごく温かかった。
放課後、公園のベンチで練習した。優はただじっと見てた。演奏はまだぎこちなかったけど。優は笑った。
「駿君、頑張ってるね」そう言って彼女は紫陽花のピックをくれた。
「これ、持ってて」
手に持つと、彼女の温もりが染みた。照れた。優、ハミング。夏の風、彼女の髪、揺れる。プロになる夢を話した。
「ライブハウス、大きいステージ、君と一緒に見たい」
優、目をキラキラさせて、「駿ならできるよ」俺を信じてくれた。その日から優は俺の光だった。
17歳の頃、段々と夢に近づいてた。ギター、上手くなった。公園の練習、優が見守る。彼女はいつも応援してた。
「駿の音、好きだよ」
俺、ギター抱えて笑った。未来は、夢は、すぐそこだった。
でも、あの日の忌々しい事故が全部奪った。夏祭りに向かうの夜にバイクで優と走ってた。
信号無視の車が俺たちに衝突してきた。右手に激痛が走った後にぼやける視界の中に血まみれの優の姿が見えた、俺は彼女に必死に手を伸ばしたけど意識が途切れた。
目が覚めると病院に居た。包帯まみれで体の至る所が痛かった。医者が冷たい声で言った
「右手の神経がやられています。細かい動きは難しでしょう」
心臓が止まったみたいだった。隣のベッドに目を移すと優の名前があった。急いで駆けつけた。彼女はベッドの上で、弱々しく横になっていた。
彼女の顔は白くなって。目は半開き。俺は彼女の手を握ると彼女の手は冷たかった。俺は青ざめた昔、母さんが死んだ時と同じだった。
優が俺の姿を見た瞬間に安心した様な顔になった後に言った。
「駿…困ってる人を助ける…優しい人のままでいてね」
彼女は弱々しい声でそう言った後に微笑んだ。
次の瞬間にモニターが止まった。心電図のピーッて音が鳴り響いた。
俺はひたすらに叫んだ。
「優! 嫌だ!死なないで!君が居ないと俺は!」
医者とナースは俺を押さえた。優はもう動かない。俺は彼女の手を必死に握り続けた。冷たい彼女の手を握る血だらけの俺の手が震えた。
優が死んだ。優の最後の言葉が耳に残る。
俺は病院を飛び出した。雨が降りしきる街は暗かった。優と一緒に通った道を走った。
「なんで俺が、優が、こんな目に遭わなきゃいけないんだよ! なんでだよ!!」
叫び声が雨に消える。思い出を追いかけた。手を伸ばすけど届かなかった。幻影が消えた。
彼女の笑顔、紫陽花のピック、彼女との思い出が全部消える。俺は崩れ落ちた。アスファルトが冷たい。雨が俺を叩く。
「返してくれよ…俺の夢を…優を…返してよ…」
そう呟いた後に叫んだ。喉が裂ける程叫んだ。
けど、誰も答えない。答えてくれない。優がいないその一つ真実だけが俺の心を締め付けた。
あの時の事を思い出した後。俺はレスポールの埃を拭いた後、チューニングを行った。音は濁ってるど、心に響く。左手の指でGコードを押えた。懐かしい形だった。右手には紫陽花のピックを握る。優の笑顔が頭に浮かぶ。
ストロークの音がぎこちなかった。あの頃の夏の公園と優のハミングを思い出し胸が熱くなる。
優が好きだった曲、簡単なリフ。弾きながら目をつぶる。優が隣にいてくれた夏、ギターは俺の声音が魂が弾ける。あの頃の夢が戻ってくるそう思った。
でも、現実はそう甘くは無かった右手が突然震えた。握っていたピックが滑り弦を掠る。
音が乱れる。コードが押さえられない。
指が動かない。震えが止まらない。ピックが床に落ちた。その音で心臓が締め付けられる。
やっぱりか…分かってた。この手は2年前から裏切ってる。医者の言葉が脳裏に響くやっぱり、ダメか。
弾けるわけがないって分かってたのに、どこかで、弾けるって信じたかった。ギターを膝に置いた後顔を両手で覆った。息が詰まる。
悔しくて胸がえぐられる。優、ごめん。やっぱり俺、ダメだった。あの時の俺、優と笑ってた。
公園でギターの練習してる俺を見て優は俺の夢を信じてた。
でも優は死んだ。右手もまともに動かない。ギターが弾けない。その事実に涙がこぼれる。
優がくれたピックが床に転がる。
優の目を思い出す。公園で俺のギターをじっと見てた。幾ら失敗しても、彼女の笑顔に俺は救われていた。
優の言葉が胸に刺さる。優しい人でいなきゃ。
優を失い夢も失った。でも、優の言葉だけは失いたくない。
花の絵とピックのコースター。優が愛した物を守りたい。
夢は死んでいても、優の想いは生きてる。
立ち上がり紫陽花のピックを拾うとなんだか温かい。ギターはケースに戻さずガレージの隅に置いた。
いつかもう一度だけ弾く為に。夢が叶わないのは悔しいけど、許す。
あの時の俺は死んだけど。今の俺は生きてる。だから優の最後の願いを守る。
ギターが弾けなくても、音は心にある。優の笑顔も俺の中で生きてる。
事故の傷を見て嘲笑う。負けない。負けるわけにはいかない。
なぁ…優…見ててくれ。これからの俺を