RECORD

Eno.1020 落葉の記録

壱話 影が差す昼下がり

「ぐるり屋」 
裏通りの角にひっそり開いている廃品回収屋。

棚には誰が買うでもないような品々が並んでいる。
何に使うのかわからない“誰かの時間”が染みこんだもの。
我楽多。


 

「落葉」
店の中でぼんやりと店番をしている店主。
年齢不詳、性別もあいまい。不思議と“男性”に見える。
唐傘をよく持っている。



 


その日も客は中々来なかった。
代わりに風がひとりでに扉を揺らし、どこかで鈴が鳴った。

「……道迷っとるんかな」


店は基本閑古鳥。
客が来ても何も買わず、何も言わずに帰る日もある。
それでも店主は、何かを待っていた。

「まあ、ええか。
 私も探しもん見つからんし」


手持ち無沙汰で一輪の枯れかけた花が瓶に差し替えられる。
さて、そうして店の奥からひとつの品を取り出せば、カウンターにことりと置かれた。

暫くして靴の足音が聞こえてくる。
目の前には、向こう側が見えぬ扉。

お? と店主の口元が上がれば、にこりと微笑んだ。


「さあ、
 今日のお客はどんな話を置いてってくれるやろうか」




影が差す昼下がり。
小さな店の物語は、静かに紡がれていく。