RECORD

Eno.7 瀬波 りり子の記録

りり子のパーツその3:液状導体

 
いつか誰かがこれを読むとき、何かの役に立つように。
当機の……"私"の身体に使われているパーツについて、
ひとつずつ説明をしていこうと思います。

みっつめ、ヒトの肌の色をつくるはずのもの、血液。



循環型液状万能導体"オーシャン・ブラッド"



このパーツ……というか液体は、私をヒトとみたときの、血液。
おなかや心臓の動力炉がエネルギーを生み出したあと、
それを全身に行き渡らせるために重要な存在です。



このパーツは生産元がはっきりしていないのですが、
その割には十分な量が流通しており、性能も安定しています。
事故の報告も殆ど聞かないので、安心して使えます。
"当機"のほうにも同様の詳細不明なパーツを使っているのですが……
どうにも、こういうのを作れる"野良"の存在がいるようですね。
こっちとしては助かりますが、取り締まりなどを行うような組織からしてみれば
けっこう迷惑なものだったりするのかもしれません。

"当機"のほうに使っているものと違い、これは全身を循環させる必要があります。
まさしくヒトの血のように、心臓を起点とし、手足や頭の先まで行って、
そのあと、心臓めがけて戻って来る。
戻る時間を必要とするぶん、それを要さない導体よりは効率が落ちますが……
怪我をしたときに血を流さない者は、ヒトには見えませんから。



この導体は、電力にも魔力にも生命力にも対応しています。
どのような力であっても(もちろん厳密には全てではありませんが)
うまいこと全身に行き渡らせてくれます。
必然的に体温調節の助けにもなってくれており、
私の手の冷たさをそれ以外の場所の温度で緩和してくれる。
都合のいい状況を作ることができています。
エネルギーのロスも少ないので……
このボディのまま戦ったりしない限りは、そう簡単にはエネルギー切れを起こさないでしょう。

私の耳は機械のマイクですから、当然ヒトをはるかに超える聴力を持ちます。
耳に手を当てればこの導体の流れる音も聞こえるほど。
普段のボディには絶えず流れている液体などは積んでありませんので、
心臓の鼓動と同様に、これを聞くと不思議な気持ちになります。
まるで、生きているヒトみたいだから。



さて。次のパーツは……
せっかく体温の話もしたことですし、人工筋肉について、にしておきましょう。
それでは、また。