RECORD

Eno.251 鳴宮優希の記録

【12.月が綺麗だね】


 夏祭りの最後の日。
 手紙貰って、会場に来て、
 ひとけの少ない方へ行って。

──奏翔から、返事をもらった。



「──愛してる。
 お前が、好きだ」


 あまりにも愚直な、言葉を。
 僕の月は、真っ直ぐに僕を見ていた。
 幸せにしたいって。そばに居て欲しいって。

 ばかだなぁ、奏翔は。

「……わたしはもう、幸せだよ」


 きみはもうわたしを幸せに出来ているし、
 わたしこそ、きみがそばに居てくれないと、幸せになれないの。
 わたしからお願いしたいぐらいなの。

「……愛してるよ、奏翔」


 想い、通じ合えたね。
 そしたら胸の苦しみも、消えてなくなった。
 わたしの恋は、叶ったんだ。

 きみの瞳の煙水晶を、とても綺麗だと思った。
 ねぇ、月が綺麗だね、奏翔。

 思い切り抱き締めて、きみの体温と鼓動を感じて。
 わたしの“好き”を至近距離で浴びた。
 きみの腕の中にいると、安心するの。
 きみと一緒に居る時は、どんな時よりも自然に笑えるの。

 頭、撫でてもらった。
 きみからなら許すの。
 きみが撫でるなら、怖くないの。

 草履の鼻緒が切れちゃったから、
 きみにまた姫抱きしてもらって。
 近くなった距離、通じ合えた心。
 そうしてわたしたちは、お家に帰ったんだ。

 ねぇ、ねぇ、月が本当に、綺麗だね。

「──あいしてる」