RECORD

Eno.329 九条 陶椛の記録

equipment.

https://wdrb.work/otherside/record.php?id=3071

「……ふむ。なるほど。
 意図したものではないでしょうが
 神楽舞で鎮めた形になりますね。
 神というほどの格ではありませんが」

対象のモニタリングおよび有事の際に備え
近くで控えていた神秘管理局の局員たち。
騒ぎが沈静化したことを確認し
後処理のために動きはじめた。

「巫女が神秘に対し舞を奉納することで
 招いた神秘を楽しませ、鎮める。
 神楽舞として成立しています」

「舞……ですか、あれが」

「ふたりで踊っていたのでしょう。
 いささか物騒な舞でしたが
 おかげで掃除も出来ました」

色眼鏡をかけた白衣の男性が
小さな神秘結晶のかけらを拾い上げる。

「今にして思えば、招いただけで
 その後は放置していた状態でしたからね
 色々と機嫌が悪いのも当然ですか」

疲れ果ててそのまま床で大の字に寝ている
陶椛を見やる。

「荒っぽいものでしたが、上出来です。
 やはり、良き巫の血を引いておられる」



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「うわ、おっっも!
 こんなん振り回すの無理ですよー」

対怪奇用の処理が施された木刀。
構えて振ってはみるものの
重さに振り回されている。
装備担当の女性局員がそれらを見て
データに入力していく。

「駄目そうですね」

「そーかもー…」

裏世界での護身用にいくつかの装備を
試してみている。
剣などの武器はその重量故に女子高生の
筋力では満足に振り回すこともできず
陶椛にその心得もない。

「うーん……当たんないですねー
 これむつかしいですよー」

射撃武器はどうかと試すもこちらは
怪奇の力との噛み合わせがよくない。
そもそもの命中率がいまいちだった。

「やはり、異術系の補助・増幅器などが
 良さそうですね。いくつかありますので
 試していきましょうか」

札、指輪、儀式短剣、アミュレット
呪具、水晶球、短杖、鏡……
うさんくさい道具を次々と試していくが

「うーん。悪くはないのだけれど…
 なんだかイマイチはまらない感じね?」

「んんー、そーですねー……
 石とか指輪とか悪くないんですけどね。
 きれーだし」

「じゃあそっちの路線で……
 あ、そうだ。ネイルはどうかしら。
 アガるんじゃない?」

「え、ネイルで戦うんです私?」

「爪ってね、魔除けの力があるのよ。
 熊の爪とか力が強くて魔除けの定番」

「えー、クマですかぁ。
 ゴツすぎないですかねー?」

「ふふ。実はマニキュアもそうなのよ。
 赤色には魔を除けて力を得る効果があるの
 けっこう古くからあるのよねぇ」

「なので、ネイルも魔除けとして
 成立してるの。対神秘処理を施せば
 それはもう裏世界での武器になる」

「もちろん、剣とかみたいな物理的に
 殴れる武器にはならないけどね」

「女性隊員用に試作されてるのが
 いくつかあるから試してみない?
 こういうの好きでしょ」


対神秘用ネイルチップ

生成段階から異界の素材の粉末を混入し
特殊な儀式加工を施した樹脂製の付け爪。
異界から力を引き出す術の行使の
補助/増幅装置であり媒体となる。

接着には異界の素材を元にした接着剤を
用いることで裏世界では術者と強固に
結びつき、衝撃などにも耐えられる。
表世界に戻れば簡単に外すことができる。

デザインは壱ノ蛇のスポンサー企業に
所属するとあるデザイナーが担当している。