RECORD

Eno.181 美馬山くくりの記録

まずは挨拶から-1

「では、出現プロセスの再現を開始します」

「は、はい! よろしくお願いします!」



あの日、裏世界アザーサイドと呼ばれるらしい場所に迷い込んだ日。
そこで遭遇した、長い影、蠢く赤い何か。

”それらによく似ているけど、対話のできる存在がいた。”

聞き取り調査の途中、そう証言したらあれよあれよと話が進み、
こうして今、実験室っぽい所で、真剣な顔をした大人たちに囲まれとる。

爆発物処理みたいに分厚い装備を着た職員たちが、愛用の原付を操作するのを眺めながら、
どうしてこんなことになったんだろか、って他人事みたいに考えてた。

「物品自体に異常は無いようです」

「神秘率は……同型よりやや高いですが、正常の範囲内かと」


(難しやり取りとか変な計器とかばっかだ。な~んもわからん。
……これが武蔵野さんが言おった、『神秘を守る』仕事をしてる人らなんだろか)


SFは好きでも、その世界に入り込みたいと思いはせんな……とやっぱり他人事で見守る。

裏世界で出会ったあれ・・らに、本能的な恐怖を感じた事実が大きいんだろう。
逃げ出してなんでもない日常に戻る選択も……恐らく、いくらでも取れたはず。


(……だけど、『見たい』って思っちゃってるんよなぁ……)


そういうとこがあるんよ、昔っから。







美馬山 くくり
動きやすい服装でと言われたので、とりあえず作業着を着てきた。

???
くくりが裏世界で出会った奇妙なもの。詳細不明。