RECORD

Eno.385 桑田雪宗の記録

Vlog(2) フツウ

静寂が好きだ。沈黙が好きだ。考えがまとまる。だが、いつも考えているわけじゃない。たまにバカなことだってする。こんなヤツだけど、いつも課題の提出はギリギリなんだ。学祭だって好きだ。永遠と無口なやつではないんだ。
いつからこうなった?いつから独りになった?いつから名探偵に、ヒーローに憧れるようになった?考えれば考えるほど、心が虚しくなる。
いつから裏世界のことを知った?いつからこの区の真理に近づき始めた?考えると少し頭が痛くなる。

振り返ってみよう。
母親は明るく、どんなことでも自分の意見を貫く、まぁ所謂頑固な人だ。それに対して、父親はずっと無口だ。何を考えているのか、俺にもわからない。
母親曰く、幼かった俺は誰とでも話せる明るい子どもだったらしい。父親曰く、物心を付く前から特撮作品を見ていたらしい。

でも、いつからか家族以外とは余り話せなくなった。別にトラウマを持った訳ではない。誰かから虐められた訳でもない。
本当に、偶然に。

いきなり無口になって心配した保育園の先生、つまらないと感じ離れていった友達、無口になった理由を聞き出そうとする母さん、変わらない父さん。
結局わからずじまいで、小児科に行ったが成長によるものだと言われたんだっけ。

中学の時はこの性格のせいか馴染めてはいたが、孤立していた時もある。心配されすぎて、2年の担任と六回三者面談を行った。
宿泊研修、修学旅行の班決めと部屋決めは、俺のせいで長引いたようにも感じる。皆、あの時は本当にごめん。

受験勉強をしたくなさすぎて、束高に推薦で合格するために生徒会長になろうと立候補した。役員選挙で熱弁したが、知名度がなさすぎて普通に敗北した。
敗北したことが悔しすぎていつの間にか読書に熱中していた。それもミステリー小説に。多分初めは、生徒会長になった奴にギャフンと言わせたかったから読んだんだ。ギャフンどころではないが。
それからミステリーにはまった。推理小説を書いてネットに投稿していた。今となっては黒歴史だ。

結局一般入試で束高に入った。偶然、束高にミステリー研究会があることを知った。嬉しかった。廃部寸前のミステリー研究会に入った。
幽霊部員が多すぎて、誰がいるかわからない。独りで黙々と本を読むのも、実験するのも悪くない。
母親に進路はどうするんだと聞かれた。「探偵になろうかな。憧れなんだ。」と言ったら、バカ真面目に怒られた。
渋々、大学受験に向けて勉強を本格的に始めた。 束大か、他県か…まだ決まってない。

2年生になった。ある日の放課後だった。モーストで出品者へお金をATMで支払った。あと、週刊雑誌と新作のコロッケも。外を出た…そこは

「…なんだ、これ。」


俺の知っている北摩じゃなかった。奇妙で、薄暗くて…どこか懐かしい。何か、日常の歯車が狂ったような気がした。

嗚呼。成る程。

「此処からか。」