RECORD

Eno.327 六角 しよりの記録

█月7日 ナナの噂話

…………—ちょきん。

あの日、切られた『よりしろさん』と『放課後の影語り』。

曖昧になっていたものが全部、元に戻った。

作りすぎた縁は時に糸のように絡まり、ほどけなくなる。

たった今『よりしろさん』で作りすぎたものを整頓した。



「……きみさ」


「おれが『放課後の影語り』としてできた時、一番初めに俺の作った噂話を聞いた子でしょ?」


「さぁね、鳥頭だから忘れちゃったよ」


「よく言うよ。ここでずっと噂話を話してたじゃないか」



放課後で時間が止まっている古い古い校舎。
ここは『放課後の影語り』がいる校舎。
今日も友達を待っている。

新しい噂話を作って待っている。




あの日、目が覚めた。

長く曖昧な夢を時々見ていた気がする。

溶けたアイスみたいに自分がどろどろになっていた、ような。

友達は。



「えぇと……」



旧校舎で『よりしろさん』をやって、友達になって。

近づきすぎたのだろう。

以前のような強迫観念はなく、どこかぽっかり穴が開いたような。

「あそこの旧校舎に、いるのかな?」



裏世界にできていた見覚えのある旧校舎。

あそこにいる気がした。



「で、どう?改めてこうして横に友達がいるのは」
「……不思議な感じ」


「そもそも、ずっと探さなきゃって気持ちにさせないでほしい」
「そこはごめんって。こうなっちゃうんだよ『よりしろさん』で曖昧になると」


『…………』



「でも、よかった。また昔みたいにお話聞けるんでしょ?」


「当ったり前よ、新しいの考えるよ」



かぁかぁ。

放課後、ギリギリまで遊ぶ同級生のように。

きみが大人になるまで、忘れていくまでの間。

友達でいる、噂話。