RECORD
Eno.38 穂叢 焔芽の記録
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ミームとは、模倣や非遺伝的手法を通して、脳から脳へと伝達・複製される情報の基本単位である。
そしてミームは非異常性であっても他人に思考を感染させ、行動を変化させてしまうことに留意しなくてはならない。
即ち何かの概念を知っているということは、自然にその概念でもって思考することに他ならない。


そういえば。と、思い出したような仕草。

言葉によって、世界は切り分けられる。
切り分けることによってのみ、そこにあるものを認識できる。
言葉によって切り分けることで、同じ概念を共有できる。
そうして共有されたものは、ひとつの神秘足るのだ。
そして共有される最小単位の情報、それがミームである。


これほどまでに身の回りに溢れていて、しかし説明しきれないもの。
定義はされているのに、それが何であるかを明示できないもの。
故にミームは制御し難く、ミームの集合体たる言語は一種の神秘として在る。
どれほど薄れても尚、その片鱗がしぶとく残される所以。
2限 ミーム学
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「さて初っ端から断っておくと、ミームっていうのはネットミームのことじゃない。
ネットミームも狭義的にはミームの一種にあたるんだけど、より広範に通用する話をしていこう。」

「まずはミームというものの定義から。
これに関しては既に知っている人も多いのかもしれないけど……」
ミームとは、模倣や非遺伝的手法を通して、脳から脳へと伝達・複製される情報の基本単位である。
そしてミームは非異常性であっても他人に思考を感染させ、行動を変化させてしまうことに留意しなくてはならない。
即ち何かの概念を知っているということは、自然にその概念でもって思考することに他ならない。

「つまりだ、知識は全てミームであって、学ぶということは一種のミームに対して曝露するということ。
そして最も分かりやすくて身近なミームは、恐らく言語だろうね。」

つまり、ミームの影響を受けない方法は完全な無知になる以外に存在しない。
感染することを前提に、僕らはその対処をしなきゃならないってことだ。
そういえば。と、思い出したような仕草。

「1限、呪術の講義受けてきた人もちょうどいるんじゃない?
まさに呪術は、特に言語呪術……って言うんだっけね。
ミームという共通性をもとに類感によって事象を具象化する術であって、人類の間に言語に基づいた共有された非遺伝的情報が存在する限り成立する術だ。」
言葉によって、世界は切り分けられる。
切り分けることによってのみ、そこにあるものを認識できる。
言葉によって切り分けることで、同じ概念を共有できる。
そうして共有されたものは、ひとつの神秘足るのだ。
そして共有される最小単位の情報、それがミームである。

「この通り、世界にはミームで溢れているし、そして僕らはミームを、知識という概念を、言葉そのものを解明できない。
今の僕らでは、その情報によって引き起こされる行動やなんかが非異常性かどうかでしか異常性を判断できない。」

「この世界に再び神秘が出現していなくても、身近にあった神秘さ。
明示的な異常行動が確認できないなら、それが怪奇由来でも判断もできない。」
これほどまでに身の回りに溢れていて、しかし説明しきれないもの。
定義はされているのに、それが何であるかを明示できないもの。
故にミームは制御し難く、ミームの集合体たる言語は一種の神秘として在る。
どれほど薄れても尚、その片鱗がしぶとく残される所以。

「基礎の基礎、導入としてはこのくらいかな。
覚えておいてね、人間らしく生きる限りミームはありふれてるってこと。」
