RECORD

Eno.295 ーの記録

10.幕は閉じて。

「決めたよ」
『そっか』

『もうこの世界に未練はないの?』
「その言い方はずるいんじゃないかな」
『それもそうだね』

「ないといえばウソになるけど。ないって言わないとね、ここは」
『そうだよね、じゃないと行けないもんね』
少しの間。

『じゃあ、いいんだね』
「いいよ」
『おやすみ、偽物のボク』
「後はよろしくね、本物のボク」

『そして、いってらっしゃい』
「いってきます」
時空渡り。今度は、いつもの近場じゃなくて。
ボクの手の届かない距離まで。
もう、こちらには、簡単には帰ってこれない距離まで、飛んで。

消えた。