RECORD

Eno.114 青井 苹果の記録

始まりの日

おとうさんがいなくなってしまった。
あまり驚きはしなかった。いままでもたまに、ふらっとどこかへいってしばらく帰ってこないということがあったから。
でも、今回はいつもと違って……
いつもなら残された魚や水槽の世話のメモをうんざりするくらい細かく残していくのに、今回はそれがなかった。
どちらにせよ、いつかこんな日がくるんじゃないかという予感がしていたから。あまり驚かなかったのだ。
飲みかけのコーヒーが入ったまだ温かいマグカップが、だんだんと冷えていくのを私はぼんやりと眺めていた。