RECORD

Eno.1020 落葉の記録

会話記録

会話記録

記録対象:落葉(店主)/来訪者(青年・氏名不詳)
記録担当:不明
記録日時:不定(夕刻)



(店舗内。棚の整理中、来訪者が入店)

落葉:「おや、また来てくれたん。今度は何の用?」

青年:「別に……買うわけでも、売るわけでもなくて。ただ、来ただけです」

落葉:「そりゃあ、ええことよ。来るのに理由がある人間ばっかりやと、店も肩が凝ってしまう」

(間)

青年:「これ、拾ったんです。道ばたに落ちてて。誰のかも分からなくて」

落葉:(受け取る)「へぇ、誰かのもの、あんたのものにしたげるの?」

青年:「いや、したくないです。何か怖かったんですよ。見つけた瞬間から、もう放っとけなかったというか」

落葉:「そういうもんは、たいてい帰る場所を探してる最中やろうか、なんて」

(沈黙)

青年:「店主さんは、こういうのずっと扱ってるんですか?」

落葉:「扱っとるいうより、預かっとるだけやろうか。帰るまで、あるいは誰かが気づくまで」

青年:「……誰の手にも渡らないものもあるんですか?」

落葉:「ようあるよ。けどな、それでも置いといてええ場所があるだけで、救いになったりするんやないかなぁ」

(長い間、ぬいぐるみを見つめてから)

青年:「じゃあ、……預けていきたいです」

落葉:「そお。じゃあ、値段つけたろうか。帰る場所見つかったら教えたるね」



補記:
当該青年は以後数回にわたり来訪の記録あり。物品の授受は不定期ながら継続。落葉の応対に変化は見られないが、青年の言動には明らかな緩和傾向あり。
精神的依存関係または儀式的接触の兆候を否定しきれない。継続観察を推奨する。