RECORD
Eno.340 月待 よすがの記録
思考実験α
"摩擦は生じないものとする"。
計算式のためによく使われる文言。
"カルネアデスの板"
悪徳と倫理の相互関係と問題提起。
"シュレディンガーの猫"
暴かないと分からない、ただの皮肉。
"スワンプマン"
仮定に仮定を重ねた人間の定義の証明問題。
人間の定義って曖昧だ。
物質的には人の姿に擬態している怪奇たちは人間として扱われる。
構成物質が同じならあらゆる医学で「人間」となる上、この世で最も大切に扱われるこの生物は多少の差異が許される。
スワンプマンだって哲学的ゾンビやら水槽の中の脳と仕組みは同じ。
人を人たらしめる要因を、時代の人々はいつも求めてる。
月待よすがは紛れもなく人間だ。ヒトから生まれて育ち、一般的なヒトとして生きている。
けれど僕は、どうしようもなく"異常"に等しい。
"クオリア"とやらを持っているかも曖昧なら、"アイデンティティ"も曖昧。"認識"なんてできやしない。
あのひとの実体は、"泥"だった。
曰く、汚泥に雷が落ちてその高圧電流で化学反応が起きれば"スワンプマン"が生まれるらしい。
……様々な要素を飲み込んだ汚泥というものに人間は未知を求めすぎている気はするが。
余談だけれど、僕の神秘武装は"雷"。
エネルギーの実体と"稲妻"の語源は狐の様相に相性が良く。僕もそれを扱える人間に成ろうとした。
……まあ、自分の話はどうでもよくて。
だから結局その化学反応とやらを試してみたくなった、というのが結論。
そのためなら僕は、自分がどれだけぐちゃぐちゃになっても良いんだ。
怖くない。ひとつも恐ろしくない。
ただ、自分の好奇心を逃がして自分が人間でなくなることが一番怖い。
君のスタンスは凄く優秀でいて、間違いだった。
人間というのは焦らされれば否が応でも期待が高まる。
僕はきっと君が思うよりも沢山、君について考えたんだ。
隠された部分を紐解いていくのは大好き。君は僕に、"好きにさせてしまわせた"。
だから僕は君が君でなくなることが嫌になってしまったんだ。
……そういう絡繰り、君が理解できる頃にはきっと怪奇は神秘ではなくなるんだろう。
自分で暴くことの楽しさ。喜び。それらを君から奪うことなんてしないよ。
だから、一切ズルはさせない。僕の君に対する妄信はひとつだって混ぜてあげない。
人を模倣し擬態する泥濘。
それが解明されるとしたなら、きっと君が完全に"人間"になった時だと僕は思う。
分からないもの。不思議なもの。それらを神秘と呼ぶのなら、ヒトの感情だってそれにふさわしい。
だからひとつずつ、教えてあげる。暴いてあげる。
これは神秘の解明じゃあなくて、思考実験だ。
あぁ、最近忘れてしまっていた僕の好奇心。
それを君が並々と満たしてくれて、久しぶりにちゃんと 笑った気がした。
――うん。わかってる。僕も愛してるよ。ナナシさん。
計算式のためによく使われる文言。
"カルネアデスの板"
悪徳と倫理の相互関係と問題提起。
"シュレディンガーの猫"
暴かないと分からない、ただの皮肉。
"スワンプマン"
仮定に仮定を重ねた人間の定義の証明問題。
人間の定義って曖昧だ。
物質的には人の姿に擬態している怪奇たちは人間として扱われる。
構成物質が同じならあらゆる医学で「人間」となる上、この世で最も大切に扱われるこの生物は多少の差異が許される。
スワンプマンだって哲学的ゾンビやら水槽の中の脳と仕組みは同じ。
人を人たらしめる要因を、時代の人々はいつも求めてる。
月待よすがは紛れもなく人間だ。ヒトから生まれて育ち、一般的なヒトとして生きている。
けれど僕は、どうしようもなく"異常"に等しい。
"クオリア"とやらを持っているかも曖昧なら、"アイデンティティ"も曖昧。"認識"なんてできやしない。
あのひとの実体は、"泥"だった。
曰く、汚泥に雷が落ちてその高圧電流で化学反応が起きれば"スワンプマン"が生まれるらしい。
……様々な要素を飲み込んだ汚泥というものに人間は未知を求めすぎている気はするが。
余談だけれど、僕の神秘武装は"雷"。
エネルギーの実体と"稲妻"の語源は狐の様相に相性が良く。僕もそれを扱える人間に成ろうとした。
……まあ、自分の話はどうでもよくて。
だから結局その化学反応とやらを試してみたくなった、というのが結論。
そのためなら僕は、自分がどれだけぐちゃぐちゃになっても良いんだ。
怖くない。ひとつも恐ろしくない。
ただ、自分の好奇心を逃がして自分が人間でなくなることが一番怖い。
君のスタンスは凄く優秀でいて、間違いだった。
人間というのは焦らされれば否が応でも期待が高まる。
僕はきっと君が思うよりも沢山、君について考えたんだ。
隠された部分を紐解いていくのは大好き。君は僕に、"好きにさせてしまわせた"。
だから僕は君が君でなくなることが嫌になってしまったんだ。
……そういう絡繰り、君が理解できる頃にはきっと怪奇は神秘ではなくなるんだろう。
自分で暴くことの楽しさ。喜び。それらを君から奪うことなんてしないよ。
だから、一切ズルはさせない。僕の君に対する妄信はひとつだって混ぜてあげない。
人を模倣し擬態する泥濘。
それが解明されるとしたなら、きっと君が完全に"人間"になった時だと僕は思う。
分からないもの。不思議なもの。それらを神秘と呼ぶのなら、ヒトの感情だってそれにふさわしい。
だからひとつずつ、教えてあげる。暴いてあげる。
これは神秘の解明じゃあなくて、思考実験だ。
あぁ、最近忘れてしまっていた僕の好奇心。
それを君が並々と満たしてくれて、久しぶりにちゃんと 笑った気がした。
――うん。わかってる。僕も愛してるよ。ナナシさん。