RECORD
Eno.177 都成 后乃の記録
(6/10 普段は大事なもの箱にある、少女の日記)
ひととせがめぐる。
『いちねん』より『ひととせ』って読むのが好き。
大した理由があるわけじゃなくて、積み重ねているような音の響きが好きなだけ。
16。ロボタは10。
ロボタのバージョンが進むたびに、私は胸がいっぱいになる。
今年もまたひとつ、彼が生きたって。
特別な物なんて贈らなかった。
だって、今年も同じように、彼はひととせを過ごす。
そうして来年も当たり前のように、今日という日を迎えるのだから。
私がそうする。
---------
ぱたん、と日記を閉じて、少女はカーテンを開けて窓の外を見る。
日付が変わる少し前。向かいにある窓はカーテン越しでも明かりがついているとわかる。
「──!」その時、何やらツッコミめいた少年の声が聞こえてくる。
何を言ってるのかまでは聞き取れない。
でも、その響きは何処か楽しそうだったから。きっとトラブルにしても、悪くないものだったのだろう。
少女は目を和ませる。
「明日になったら、枕の感想を聞いてみなくちゃ」
窓の向こう側にいる彼に、スマホで『OTU』というスタンプを贈りながら、
少女はカーテンを閉めた。
今日も、一日の全部を終えて、彼が無事にここにいる。
それは秘密めいた、少女の日々の習慣だった。
ひとつ生きる。
(6/10 普段は大事なもの箱にある、少女の日記)
ひととせがめぐる。
『いちねん』より『ひととせ』って読むのが好き。
大した理由があるわけじゃなくて、積み重ねているような音の響きが好きなだけ。
16。ロボタは10。
ロボタのバージョンが進むたびに、私は胸がいっぱいになる。
今年もまたひとつ、彼が生きたって。
特別な物なんて贈らなかった。
だって、今年も同じように、彼はひととせを過ごす。
そうして来年も当たり前のように、今日という日を迎えるのだから。
私がそうする。
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ぱたん、と日記を閉じて、少女はカーテンを開けて窓の外を見る。
日付が変わる少し前。向かいにある窓はカーテン越しでも明かりがついているとわかる。
「──!」その時、何やらツッコミめいた少年の声が聞こえてくる。
何を言ってるのかまでは聞き取れない。
でも、その響きは何処か楽しそうだったから。きっとトラブルにしても、悪くないものだったのだろう。
少女は目を和ませる。
「明日になったら、枕の感想を聞いてみなくちゃ」
窓の向こう側にいる彼に、スマホで『OTU』というスタンプを贈りながら、
少女はカーテンを閉めた。
今日も、一日の全部を終えて、彼が無事にここにいる。
それは秘密めいた、少女の日々の習慣だった。