RECORD

Eno.358 青柳瀬 一桜の記録

Memories, records, words, thoughts

ずっと温めてきた
大切な話
どうにもならない思いを
ぼんやりと抱えたまま。

最近知り合ったばかりだけれど
多摩高専でも神秘管理局でも先輩である
中枝さんのところに行った。

「活動拠点が違うので、普段ほとんど会わない方なんです。
環境や経緯が、私とは正反対みたいで…。
だからか、伝えたいことが伝わらなくて、すれ違って、ぶつかってしまうことが、よくあって…」


「大切な方たちの想いを守りたいところとか、信念を貫こうとされているところは、応援したいのですが…
すれ違うことでそれすらも、否定しているように伝わってしまうことが多くて」


そう。本当は応援したい。
何かを目指して進んでいること。
それが、向こうの世界できっと、彼自身にとって必要なこと。


でも。
私が先天性で、うちの力を受け継いで受けて神秘を使っているから
私が彼とは違うところで生活しているから

「あの人は、神秘管理局のなかの組織に属していて、怪奇に困っている方の救助などを行っているようで。
壱ノ蛇に所属する私は、手伝うことはもちろん、話題に入り込むことも、できませんから…」


届けたくても伝わらない想い。
寄り添いたい、助けになりたい気持ち。
頼ってほしい、力になりたい、でも。住んでいる世界が違いすぎて。
私では、手を伸ばしても、届かない。


そんな話をしたら。中枝さんに
『その "すれ違い" が長く続いている感じですか』と。不便ではないかと、そう聞かれて。

そう、私が……怪奇と戦闘中に話をした時のことを
『穏やかに話ができた』と言ったから。


すれ違った気持ちが、積まれて重なって。
そして、駐屯地に足を踏み入れることを躊躇っていることが更に、見えない溝を作り出し続けていた。自分にだけ見える、大きな溝を。



そして。


検算しましょう、と。
中枝さんは何かを確認しに行くと、そんな話をしていた、気がする。


この方がそういうのであれば。
この方を見込んで、話をしに行ったのだから。
何かが見えるかもしれないと、私はその話に乗って。

行先に指定されたのは。


ーーーーーーーーー駐屯地。

私が、足を踏み入れるのを躊躇っていた、場所。






伝えたいことが、まだ伝わったわけではないけれど。
でも、すれ違った空気を、切り拓くことは、出来たような気がした。

『他愛のない話ができる』に、戻れたらって思ってた。
まだ、私は、穏やかな笑顔に見えてもらえているか…わからないけれど。





足を引っ張りたいわけじゃない、本当はずっと、力になりたかった。
私が詳しいことを何も知らないのは、信頼できる方や仲間にしか話せないこと。それでも、日常の一部になりたかった。

伝えたいことは上手く伝えられないけど、それは、お互いのことをきっと、まだあまりよく知らないからで。
だから、ゆっくりと、わかってもらえたら、良いと思った。


きっとそうしたらもっと、風通しが良くなって
素直に言葉が伝えられると、思って。


私は、一歩だけ、小さいけれど踏み出した。
昨日よりなにか少しでも、変わっていると信じて。