RECORD

Eno.255 川原の記録

個人面談

「えらい上手くやったはったみたいですねえ」

 面談、ということになっている会話はのんびりとした調子だった。

「怪奇・神秘の露呈て点ではおそらく問題なし――と思われますし」

 少々白髪の混じり始めた髪を簡単に束ねた管理局員も相対する禿頭の怪奇存在も背広姿で、互いの前には冷やした緑茶のグラスが置かれている。
 まだ結露の気配はない。

「少なくとも、人間と違うとは思われへんかったようですから。
 申告通りで一安心てとこです」
「そうでしたか」
「調査ついでに里帰りもできましたし、ええ機会でしたわ」
「…………西の方でしたか?」
「え? ああ。そうですそうです、もともと府警の科捜研におりました」

 結局こっちへ転職しましたけども――と朗らかに笑う顔。

「ほんで、一応拝んできてますが。なんや普段と変わりありました?」
「いえ。特には気付きませんでした」
「毎年盆に、て言うたはりましたもんねえ。そら変化あったらとうに気付きますか」

 手元の資料に走り書きが増える。アナログ派らしかった。

「どう思わはりました?」
「というと」
「んー……死んだ、と思われたはることについて。
 あと、悼む人が居やはることもですかね」
「特にどうとも。死んだ後のことですから」
「そうでしょうねえ」

 予想通りだったのだろう、改めて書き加えられることはない。

「で、前に伺った事象ですけどもね。
 原因の類推はまあ……できますが、解消は難しいんと違うかな、ってところです」
「そうでしたか」
「…………」
「どうされました?」
「いやあ。まあ……ひとつよろしい?」
「どうぞ」

 一拍。

「人間になりたいて思いはったことあります?」
「いえ、まったく・・・・
「……そうでしょうねえ」