RECORD

Eno.38 穂叢 焔芽の記録

隠し子

カオルがシレルの素性について変なことを言うからそんな話になったわけだが

いるわけないだろう

という話はまぁそうではあるが
それに付随して、仮にそうだとすれば、そもそも誰が相手なんだ?という話になる。
周りからどう思われているか分からないが、やはり思い当たるような顔は誰も浮かばなかったようだ。

僕だってそう思う。
浮ついた話が周囲に浮かんでくるような性格と生活をしていない自覚はある。
そもそもそういう相手以前、いわゆる『好き・・』の感情がいまいちわからない。

狭義での、好意の感情の話。
広義的な意味で、好ましく思うことはあるし、そのきっかけが必ず好奇心から来るわけではない。
味、匂い、雰囲気、そういった色々な要素を好ましいと思って、その結果として興味を持つこともある。

紐づいてはいるが、好奇心ありきというわけではないのは自分でも分かっている。
だが、未だに狭義で言われる好きを知らないし、いまいち理解できていない。

分からないからこそ、人の浮ついた話なんかは好んで聞くわけだが。

いったいどういうものだろうとは思うのだが
実際に理解しようと、自分で実践してみようとはしたことがない。
単純に、そういう心の動きに関することは、そうしようと思ってそうなるものでもないし。
そもそも心の動きに関するものは、個人によって大きく差がある。

僕は人から、大きくズレたところがある。
純粋にそのひとつとして、欠けているだけという可能性もある。
まぁそういう人間だっているだろう、そうなら、僕もその中のひとりだっただけだ。

……。
……何が僕と違うのだろう。
友人たちのことを知りたいと思うし、社会性が許す範囲で良い、他の友人たちと共有したいというのは間違いなく僕にある欲求だ。
ただそれが、一般的なものと大きく異なるのは、知識として理解できる。
誰かひとりを愛し、誰かひとりに強い感情を覚えるというのと、全く違うはずだ。

もしもとびきり甘美で、蠱惑的な何かが、謎が僕を魅了したとして
それを解き明かし、理解し、分かち合おうとするのとは本質的に違うだろう。
単一の対象、それが人であったとしても、いわゆる恋のようなものとは違うはずだ。

もしかすると僕にはないもの。
だからこそ、やはり理解したいと思うもの。
何かのきっかけで世間で言うものと同じ感情が理解できたなら、それはそれで儲けものだし
無いと分かって、何が違うのかと分かるならそれも大きな収穫になる。

やっぱり一度、形だけでも何かやってみた方が良いか?
それで何も分からなくても、得るものがないわけではない。

にしたって流石に誰でも良いわけではないし、相手に対して失礼すぎるし。
他者を手段として扱いたいわけでもない。
欲求の方向が人と違う方向を向いているだけで、個々に興味があって、個々に対する広義の好意がために湧く欲求というだけである。
相手からは嫌がられる行為だとも分かっているから、社会に合わせた方法ですべきだというのも分かっているし、実践しているつもりだ。

……自分でも、書いててたまに分からなくなる。
未知への好奇心が先なのか、それとも対象を好ましいと思うから未知を明かしたいと思うのか。
好ましいと思う気持ちを表現する方法として謎を明かし、好ましいとする相手と好ましい物事を共有しようという衝動は間違いなく存在する。
それと別に、単にそこにある未知に惹かれ、知りたいと希求する衝動もある。

だんだんわけわからなくなってきたな。また今度考えよう。