RECORD

Eno.372 橘ネムの記録

【追想】邪の道2

長い月日が経った。
僕は王の後継者として成長し、そして”狩”も日に日に過激さを増していった。

家族への恩賞を約束する代わりとして気に入ったものを城へ招き入れては行う”狩り”
それは生活に苦しむ者たちに手を差し伸べる心優しい王子という外面と自分の趣味を両立できる、素晴らしいものだった

僕は人生の歩み方を学んだ。
このまま―――――



それが起きたとわかったのは何時頃だろうか。
あるいは誰も気づいてはいなかったのだ、それが致命的になるまで。
国の財政がゆるやかに傾き、そこに天災による状況悪化が重なり。
敵対国との戦争は劣勢に傾き、民からの不満が膨らんでいく。
僕のしてきたことの噂が、少しずつ表へと出るようになった。

まるでじわじわと首を絞められるような状況の中、王が非業の死を遂げた。

あまりにも悪い事が重なり続ける。まるで誰かに状況を支配されるかのように。
それが誰かと分かったのは―――僕が王子の座を奪われ、王権をすげかえられた時だった。

あの男だ。
僕に”人間の狩”を教えたあの男。あれが全てを仕組んでいたのだ。
思えば最初からそうだったのかもしれない。僕に近づいたのも、何もかも。
全てはこの国を奪う為――――










そこから先は地獄だった。
王の座を奪われ、そして拷問を受ける日々。
何故だ?情報は全て提供したはずなのに、なぜ殺さずに甚振り続ける?
それは理由のない”狩り”。
自分がまさにしてきた――――

死ほど温い罰はなかった。生がこれほどまで苦痛をもたらすなど知らなかった。
あれだ、あの紅い髪の少女――――
あれの高いヒールの足音が聞こえる度に、心臓が止まりそうになる。恐怖が近づく。

今日もまた―――――