RECORD

Eno.34 笛理 彗昴海の記録

或る独りの昔話

昔々、あるところに。仲睦まじい双子の兄妹がいました。
兄は名を「紡義つむぎ」。弟は「彗昴海いるみ」。
二人は、裕福な家庭「笛理家」に生まれた、アルビノの二卵性双生児でした。
二人は仲睦まじく、互いが互いを護りあって生きていました。

ですがある買い物の日。手をつないで歩いていた一家は、
思いがけず"裏世界"へ落ちてしまいました。
一家は迷ってしまいました。ここから出る方法もわからないし、周りには誰もいません。
ふと、彗昴海は何かを見つけ、家族から少し離れてしまいました。

その刹那でした。家族は死にました。何かに切り裂かれました。
彗昴海がふと後ろを振り向けば、そこにあったのは家族だったものだったのです。

その意味が理解できず、彗昴海は兄に駆け寄りました。「おにーちゃん!」と話しかけました。
返事はありませんでした。彗昴海はただ、どうしたの、と、兄をゆすっていました。





次の彗昴海の記憶は、銃で眼前の怪奇を殺したことでした。
兄をゆすっていた時から、地に伏したそれに向けた銃の引き金を引くの間の事は、
彗昴海はあまり覚えていませんでした。