RECORD

Eno.156 都敬 柊の記録

狐の窓

妖怪の本性を見る、未来の吉凶を見る、異界を見る。
古来より股覗きや袖覗きにはこれらの効果があるという。
妖怪の正体を見破るということは、それらの侵入を防ぎ退散させるということでもあり、つまりは魔除けの効果が強く意識されている。

己の身体を隠し、相手には容易に此方を見させない状態で覗き見る。
相手との直接的な関わりを防ぐ体勢もまた、魔除けの効果を表しているのではないだろうか。

そして、これらと並び異界を覗く手段として有名なものに『狐の窓』という手の組み方がある。
元を辿れば狐の嫁入りが見えるというものだ。

手の指を2本ずつに分け、一方を表、もう一方を裏に向けて組み合わせ、出来た中央の穴から覗き見る形。
手のひらと甲が同時に両面にあることで、裏と表が同時に存在するという形。
異なる世界に接していながらそのどちらでもない境界。
そこに開いた穴は正しく、怪異の潜む世界を垣間見る隙間であると言えるだろう。

一説には、狐に憑かれた時にはこの穴から息を吹くと狐を退散できるとも言われるが。



『怖かっただろう、柊』

『大丈夫だ。おまじないを教えてあげるからね』