RECORD

Eno.268 飯屋 彩禍の記録

運命の歯車3.『障壁』

 

これと言って好きなものはない。
ただ必要だったから。
それ以上の理由はない。
ただ。
好きだった記憶はある。
姉の笑顔。
私は見たことはない。
ビスケット。
私の口には合わなかった。
そもそもあまり食べない。
努力。
何の努力をしていたのかは知らない。
記憶だけが残っている。
体験は染み付いていない。
私は何処からかが「私」なのか。



少なくとも、
体験の少なさはそのまま脆弱性だ。
記憶にあっても理解ができない。
姉が金属バットで殴りかかってきたのはまぁ、そういうことなのだろう。
気付くことはそう難しくはない。

一枚の壁。
人間と怪奇の壁。
人間であることはそんなに大事なのだろうか?

わたしはわたしなのに。