RECORD

Eno.367 日上 晴の記録

6月21日

あいつと顔を合わせたのは、確か10年前。
葬式の時だった。

親戚が家族で来ている中、そいつだけは1人で来たのを覚えている。
両親は離婚していて、母親が海外に出て父親がフィールドワークでいないと聞いた。
なかなかにひどい親だなと思った。
1人縮こまって葬式に参加する姿なんて見れば、可哀想と言えば可哀想。印象はそれだけだった。

葬式があった日から何ヵ月か経った後だったか。
またしても不在の父の兄の代わりに家族でその子が参加する学芸会を観に行くことになった。
怠惰な叔父のせいで子どものお遊戯会を観るなんて、と思いながら行ったのを覚えている。
…だけどそれと同じくらい、


劇本番、舞台の上でちょい役ながらも、
誰よりも一生懸命で演技する従弟の姿が目に焼き付いたことも覚えている。


葬式の時とは違う、輝きを持っている姿だった。
誰よりも、楽しんでいる印象だった。


だからあの時の姿を見た時は、ひどく残念に思った。