RECORD
Eno.340 月待 よすがの記録
死霊術
時計が日付を跨いだくらい。
装備は裏の倉庫に預けて、コンビニに寄って、買い物をして、帰る。
自分の家に「ただいま」なんて言わない。「おかえり」が無いから。
鼻歌を歌いながら部屋へ入る。ビニール袋をテーブルに乗せて、着替えた。
鏡の取り払われた洗面所。たのしそうに。

がさがさとビニール袋を漁って、カップのアイスを取り出す。
きらきらしたパフェみたいで少し大きく、それなりにお高い。
凍ったいちごが入っていて、僕はこの部分が好きだった。
付けて貰ったスプーンで掬う。食べる。飲み込む。たのしそうに。

再び掬う。食べる。……スマホを確認しながらアイスクリームを食べ進める。味がしない。
これでまたひとつ、自分の縁が切れるのだから本当に嬉しい。
持っている必要のないものが多いほど心が軽くなる。
神秘に没頭して、しきって、よくなる。
だから今日も神秘のことをかんがえよう。スマホに打ち込んだ、"神隠し"の情報を開く。
幼馴染の妹が忽然と消えた事件。
僕はそれを神隠しと定義し、協力することとなった。
実体としては認識阻害だとか、認知不全とかの方が正しいだろう。
つまり神隠しというオカルトは存在していなかった。これが結論。
では、彼らの魂を喰らった蜘蛛の怪奇とは何だったのか?
生き物の中身だけを抽出し食す、悪食の怪奇。
彼の正体は死霊術師だったんだよ。……なんて言ったら驚く?
別に正体なんか、なんだっていい。
人の思考を借り、魂を以て擬態して言葉を真似る。
厄介なのは同調した人間の記憶までをもトレースすることが出来るということ。
そんな怪奇性で行われたことは、志瀬津拳悟の幼少期の姿を取って死んだ人間の話をすることだけ。
ならばそう定義し、認知することであの神秘を認めよう。
僕の一番好きなものが、僕の一番嫌いなものを暴くのなら、こちらはその逆。
僕の最も好きな方法で、僕の最も嫌いな方法にふたをする。
君はそういう怪奇だ。そうしよう。それがいい。
真実なんかなんでもいい。これに触れられてしまうくらいなら死んだ方がまし。
昔は半分だけ食べていたアイスクリーム。最後のひとくちを食べ終わる。
……たのしいな。たのしい。
神秘を暴くって、ほんとうにたのしい。
ゴミを片付けて、あとはお風呂に入って寝るだけだ。
明日は出かけるんだから幸せで在らなくちゃ。たのしそうに。
装備は裏の倉庫に預けて、コンビニに寄って、買い物をして、帰る。
自分の家に「ただいま」なんて言わない。「おかえり」が無いから。
鼻歌を歌いながら部屋へ入る。ビニール袋をテーブルに乗せて、着替えた。
鏡の取り払われた洗面所。たのしそうに。

「奮発して買っちゃった。昔は二人で分けっこしたんだよなあ」
がさがさとビニール袋を漁って、カップのアイスを取り出す。
きらきらしたパフェみたいで少し大きく、それなりにお高い。
凍ったいちごが入っていて、僕はこの部分が好きだった。
付けて貰ったスプーンで掬う。食べる。飲み込む。たのしそうに。

「良いことがあったんだ。すごくすごくいいことが」
「だからとっても美味しいな」
再び掬う。食べる。……スマホを確認しながらアイスクリームを食べ進める。味がしない。
これでまたひとつ、自分の縁が切れるのだから本当に嬉しい。
持っている必要のないものが多いほど心が軽くなる。
神秘に没頭して、しきって、よくなる。
だから今日も神秘のことをかんがえよう。スマホに打ち込んだ、"神隠し"の情報を開く。
幼馴染の妹が忽然と消えた事件。
僕はそれを神隠しと定義し、協力することとなった。
実体としては認識阻害だとか、認知不全とかの方が正しいだろう。
つまり神隠しというオカルトは存在していなかった。これが結論。
では、彼らの魂を喰らった蜘蛛の怪奇とは何だったのか?
生き物の中身だけを抽出し食す、悪食の怪奇。
彼の正体は死霊術師だったんだよ。……なんて言ったら驚く?
別に正体なんか、なんだっていい。
人の思考を借り、魂を以て擬態して言葉を真似る。
厄介なのは同調した人間の記憶までをもトレースすることが出来るということ。
そんな怪奇性で行われたことは、志瀬津拳悟の幼少期の姿を取って死んだ人間の話をすることだけ。
ならばそう定義し、認知することであの神秘を認めよう。
僕の一番好きなものが、僕の一番嫌いなものを暴くのなら、こちらはその逆。
僕の最も好きな方法で、僕の最も嫌いな方法にふたをする。
君はそういう怪奇だ。そうしよう。それがいい。
真実なんかなんでもいい。これに触れられてしまうくらいなら死んだ方がまし。
昔は半分だけ食べていたアイスクリーム。最後のひとくちを食べ終わる。
……たのしいな。たのしい。
神秘を暴くって、ほんとうにたのしい。
ゴミを片付けて、あとはお風呂に入って寝るだけだ。
明日は出かけるんだから幸せで在らなくちゃ。たのしそうに。