RECORD

Eno.1784 死せる骸の幻影 ネクロスの記録

喪うもの、得るもの

何かを一つ喪えば、何かを一つ得る。
望む、望まないに関わらず、己に定められたルールとして。

龍神に肉体を喰われれば、その龍神の肉体で自らを再構築して龍の肉体強度を再現する。

吸血鬼の真祖に血を飲み干されれば、自らの内側を吸血鬼の血で満たす。

深淵を覗く魔女に白痴であることを強要されれば、魔女の叡智の脳裏に刻み込まれる。

神々の王に右腕を引き千切られれば、その銀の右腕を簒奪する。

そうやって何かを喪えば、喪った要因を作った相手から補完する。
幾度となく繰り返される異界への誘いと、そこで出逢う神秘、怪異との邂逅。

ぐるりぐるりと廻る二重螺旋。
己が己である証を喪い、徐々に徐々に神秘へと傾倒していく肉体。
もはや人とは言えない化物。

外因性後天的合成魔獣、それが俺だった。