RECORD

Eno.1807 七條 くもりの記録

快速に乗って



七條くもりは才女である。

成績優秀、バレー部主将、容姿端麗、品行方正。
何もかもを持ち合わせた完璧な才女である。

両親が、先生が、先輩が、後輩が、皆が彼女に期待した。

勉学を、スポーツを、日頃の行いを、教会での祈りを、
彼女は完璧にこなしてきた。

皆が彼女に期待をしている。
期待に応えることに疑問を持たず、
目の前のレールを快速で運行してきた。

大学3年生前半の時点で卒業単位をほぼ取得し、
就職活動も秘密裏に終わらせる。

卒業と就職…
人生の乗り換え駅が近付いてきた―


ふと、時間があることに気付いた。
単位は残り卒論のみ。
こんなに人生でやることが無かったのは初めてだ。

快速で見えてこなかった光景は何だろう?
途中の駅はどうなっていたんだろう?
乗り換えをしたらもう見ることが出来ないかも。

幸いにも時間はある。
反対方面の電車に乗り込んで景色を見てみよう。


反対方面の電車ではなく、
路線自体が違うということに気が付かないまま、
目の前の電車に飛び乗った。