RECORD
Eno.706 如月 静空の記録
2_再会
久しぶりに聞こえた声の主は黒江くんだった
高校生の頃、初めて異世界へ来た時、初めて仲良くなった男の子
でも彼は、初めて会った頃よりも背がずっと高くて
昔私が作ってた機械仕掛けの傘で戦っていた

そう言いかけると、彼は私を睨み傘を向けて来た


何度も攻撃されそうになるが、隙だらけで避け易い
と言うか、彼は私の知ってる黒江くんで間違いなさそう!?
知らない世界だと思ってたけど、知ってる人が一人でもいるのは嬉しかった
と言う事は、私の以前来た世界? 随分前の記憶だからズレがあるのかも知れない
ならば、誤解を解かなきゃいけない
彼に「元の世界へ帰る」と伝えずにいなくなってしまったのは事実なんだから

私だってその日、好きで別の世界へ迷い込んだ訳ではない
ちょっと海行って、戻ってから黒江くんに別れを告げる予定だったんだ
……その後、波に攫われたらまた別の世界へ迷い込んだけど

黒江くんは聞く耳を持たずに私に攻撃を続ける
と言うか、もういないって!? まさか……

ため息を吐き、私は黒曜石の振り子を取り出した

黒江くんがひるんでる間に彼の握る傘を奪い、押し倒す
どこまでも黒く深い瞳と、虚ろな瞳
私の髪飾りと似た材質のハートの髪飾り
服や細かい所は違うけど、確かに彼はかつての友人、黒江 小春くんだった

一体何を吹き込まれたんだ。ってくらい、弱っているな

呆れと、安堵と、心配と
そんな思いが、彼を見るうちに増して行くのを感じた
異なる世界線が交わる事で生まれたのが私なのだから
私はどこの世界でもただ一人で、私以外の私なんて知り得ない
だから、彼を安心させたくて、ついこう言ってしまった

しかし、これはきっと、私があの人に最も言ってもらいたかった事で
最も聞きたくなかった台詞なのだろう
高校生の頃、初めて異世界へ来た時、初めて仲良くなった男の子
でも彼は、初めて会った頃よりも背がずっと高くて
昔私が作ってた機械仕掛けの傘で戦っていた

「黒江くん、久しぶり──」
そう言いかけると、彼は私を睨み傘を向けて来た

「って、どうしたの!? 私! 静空だよ!?」

「うるさいうるさいうるさい! お前なんかに静空を真似されてたまるか!!」
何度も攻撃されそうになるが、隙だらけで避け易い
と言うか、彼は私の知ってる黒江くんで間違いなさそう!?
知らない世界だと思ってたけど、知ってる人が一人でもいるのは嬉しかった
と言う事は、私の以前来た世界? 随分前の記憶だからズレがあるのかも知れない
ならば、誤解を解かなきゃいけない
彼に「元の世界へ帰る」と伝えずにいなくなってしまったのは事実なんだから

「待って待って! 手紙残して勝手にいなくなった事そんなに怒ってる!?
それとも、スマホ水没して連絡取れなかったの根に持ってる!?」
私だってその日、好きで別の世界へ迷い込んだ訳ではない
ちょっと海行って、戻ってから黒江くんに別れを告げる予定だったんだ
……その後、波に攫われたらまた別の世界へ迷い込んだけど

「静空はもういないんだ! これ以上静空をバカにするなら──」
黒江くんは聞く耳を持たずに私に攻撃を続ける
と言うか、もういないって!? まさか……

「……適当吹き込まれたな?」
ため息を吐き、私は黒曜石の振り子を取り出した

「前と全然服とか違うだろうが! わかれよ!!」
黒江くんがひるんでる間に彼の握る傘を奪い、押し倒す
どこまでも黒く深い瞳と、虚ろな瞳
私の髪飾りと似た材質のハートの髪飾り
服や細かい所は違うけど、確かに彼はかつての友人、黒江 小春くんだった

「ほんとに、静空なの……? 俺の夢でもなくて、ほんとに?」
一体何を吹き込まれたんだ。ってくらい、弱っているな

「はぁ……やっと見てくれた」
呆れと、安堵と、心配と
そんな思いが、彼を見るうちに増して行くのを感じた
異なる世界線が交わる事で生まれたのが私なのだから
私はどこの世界でもただ一人で、私以外の私なんて知り得ない
だから、彼を安心させたくて、ついこう言ってしまった

「大丈夫。私はここに生きている。
夢なんかじゃなく、ただ一人の"如月 静空"として」
しかし、これはきっと、私があの人に最も言ってもらいたかった事で
最も聞きたくなかった台詞なのだろう