RECORD
Eno.1015 灰原 よたの記録
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上京して初めにやることは決めていた。星のよく見える場所を探すこと。
一日に居座れる場所はひとつ、せいぜい粘ってもふたつ。
路上は使えないから公共施設に絞られるとしても、行ける場所は無数にある。
無数にはないか。星の数よりは少ない。
ともかく一日、一日ごとに場所を決めて回る。
北部に展望台があるという話も聞いたけど、施設は施設で借り受けるだけ。
自分で調査する分には、別に調査場所が必要になる。
夕凪公園。
街灯りの少ないそこは、自然と人気も少ない。
これで周囲に草木や緑や茶色が広がっていたなら、きっと故郷の光景に近いだろう。
寝食の問題があるから、夕暮れから夜明けまで張り付くことはできなくて、
なりゆきで朝0時───つまり真夜中から朝方までの記録を残した。







夜遅くに人と顔を合わせることは珍しい。
天体観測をする者、少なくとも自分にとっては、その時間も楽しみの一つだ。
話の種というのは手元にも転がっていて、相手の方からも持ち込んできてくれる。
いつしか夜は自分の時間になっていた。
その日も例の通り、ささやかな出会いがあった。
引き返すかと悩んでいた夜明けの時間帯だから……というのは言い訳にならないか。
深夜なら深夜で、観測の方に夢中であまり話し込む方じゃないから。
それでも、人と会えるだけで自分にとっては幾倍も実りある時間になる。

……もしかしたら、相手には困惑を強いてしまったかもしれないけど。
その日は珍しく、ささやかな無数の出会いの中でも、もっとささやかな手応えというものがあった。
口約束はちっぽけなものだ。
星座よりも不確かで結ばれることもない、と人は言う。
片付けながらの話は急いているようにも見えてしまっただろうし、
それが世辞かどうかなんて自分にはわかりやしない。
だから、自分はそれをただ喜ぶことに決めているのだ。
星が見えた時にそうであるように。



天体観測_02
/Eno.14さま・当該ログをお借りしております
上京して初めにやることは決めていた。星のよく見える場所を探すこと。
一日に居座れる場所はひとつ、せいぜい粘ってもふたつ。
路上は使えないから公共施設に絞られるとしても、行ける場所は無数にある。
無数にはないか。星の数よりは少ない。
ともかく一日、一日ごとに場所を決めて回る。
北部に展望台があるという話も聞いたけど、施設は施設で借り受けるだけ。
自分で調査する分には、別に調査場所が必要になる。
夕凪公園。
街灯りの少ないそこは、自然と人気も少ない。
これで周囲に草木や緑や茶色が広がっていたなら、きっと故郷の光景に近いだろう。
寝食の問題があるから、夕暮れから夜明けまで張り付くことはできなくて、
なりゆきで朝0時───つまり真夜中から朝方までの記録を残した。







夜遅くに人と顔を合わせることは珍しい。
天体観測をする者、少なくとも自分にとっては、その時間も楽しみの一つだ。
話の種というのは手元にも転がっていて、相手の方からも持ち込んできてくれる。
いつしか夜は自分の時間になっていた。
その日も例の通り、ささやかな出会いがあった。
引き返すかと悩んでいた夜明けの時間帯だから……というのは言い訳にならないか。
深夜なら深夜で、観測の方に夢中であまり話し込む方じゃないから。
それでも、人と会えるだけで自分にとっては幾倍も実りある時間になる。

……もしかしたら、相手には困惑を強いてしまったかもしれないけど。
その日は珍しく、ささやかな無数の出会いの中でも、もっとささやかな手応えというものがあった。
口約束はちっぽけなものだ。
星座よりも不確かで結ばれることもない、と人は言う。
片付けながらの話は急いているようにも見えてしまっただろうし、
それが世辞かどうかなんて自分にはわかりやしない。
だから、自分はそれをただ喜ぶことに決めているのだ。
星が見えた時にそうであるように。



