RECORD

Eno.706 如月 静空の記録

3_その後

「社長さん~来ましたよ」


「すいません、遅くなっちゃって。
 裏世界に昔の友人がいたもので……ってのも不思議なんですが



 黒江くんと話した事で、不審な点が色々増えた
 彼は私と出会ってるのに、私の知らない記憶がいくつかあった

 その真相を知るためにもまずは、この世界に詳しい者から情報を聞き出さなければならない
 裏世界住民の寄り合いがあるとは聞いていたが、どの道余所者であるならば
 私は「最も私の好奇心を満たす場」に所属する事を選んだ

 ……科学も魔術も、世界によって異なる色彩を見せてくれる
 私は、『神秘』の在る世界における、『神秘』に対抗する術としての『科学』を見たかった


「……なるほど。興味深いですね」


 表のインフラを担う者の語る。両面の境界と『神秘』を管理する、表を守るための施策
 きっとそれは、私の知らない事がたくさん待っている

 そう思うと、とても楽しそうで、とてもワクワクしたのだった

「広く知れ渡る……『普遍化』すると効力を失ってしまう……でしたっけ?
 そうなると、確かに協力者の確保が大変そうだ」


 異世界の科学技術が見れるなら、私の魔術を誰かのために使うのも悪く無い

 なにより、ここは表を知り尽くしている
 当初の目的だった異世界観光も恐らく果たせるだろう

「もちろんです。引き受けましょう!」


 そうして、私はカレント社と取引を行う事となった