RECORD

Eno.407 鴇谷 風梨の記録

日常

『かざりんは日常だよ? あたしにとっての戻る場所』

つーちゃんの言葉を、思い返す。
そっか、そうだったんだ。
私は誰かの、「日常」になってたんだ。



「私も、怖くないってわけじゃないし」

ごめんね、この前、ちょっとだけ嘘ついてた。
本当は、そんなに「怖くなかった」。
そりゃ痛い思いをするのは嫌だし、希死念慮ってのがあるわけでもないけど。


――いつか自分も、この世界からふっと居なくなってしまっても、おかしくないんだって。
そうなってしまったなら、そういうものなんだって、思ってた。

あの日突然、「居なくなってしまった」お父さんとお母さんのように。
あの日私が、「居なくならなかった」のは、何かの間違いだったんだろうって。

みんなの「日常」を守るためなら、いざという時には私の命を、
燃やし尽くす事になっても仕方ないかなって、どこかで思ってた。



――私が守りたいと思ってた「日常」には、「私」も居たんだ。
だったら、私が消えちゃうわけにはいかないみたいだね。

大丈夫、私も生きるから。
つーちゃんと、すみちゃんと、この街で出会ったみんなと、一緒に。