RECORD
Eno.526 黒曜 緋鐘の記録
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待────! 手を伸ばした時にはもう、目が覚めとった。身体中変な汗がびっしょり。
何で今更、ご先祖さまが夢に出てくるんや……? 分からんことばっかりで頭おかしなりそう……。
6月某日、アタシの夢で
とある夜、不思議な夢を見た。
辺りは真っ暗で、周りはアタシの背丈より高く燃える真っ赤な炎。
ヤバ、と思って顔を上げた時、目の前に、人影? があった。

初めに見えたんは、アタシが浴衣着てた時に差してた、簪とほぼ同じな真っ赤な刀。

目ぇ慣れてきてよーく見たら、不思議そうにアタシを見つめる男の人の顔。何か……不思議と体が、勝手に緊張したん覚えとる。

『この様な場に誰かと思えば。……あぁ、名乗らなくてもいい。そなたのことは、よぉく知っているとも。黒曜 緋鐘、自分の妻と同じ字をその名に持つ、自分の遙か遠い末裔だ。
なぜ知っているって? ──自分の名は鐵。そなたがご先祖さまと呼ぶその人そのものだ』

『今宵は自己紹介までとしよう。何、時間はこれからいくらでもあるとも。そう、そなたが──
──幼い頃のように、貧弱な心技体で出来る範疇を超えて戦い、死なぬ限りはな』

「……飲まれるなよ。自分の──オレの力に。それに、そなた自身の力に。
もしそうなれば、オレはそなたを、未熟者を斬らねばならん。これは警告だ、決して、力の使い所を見誤ってはいけない。オレにこの刀を抜かせるなよ……緋鐘」
そう言い終われば炎の中に消えていった。周りの炎は、いつの間にかアタシの火傷の部分をがんじがらめにして離してくれん。
熱い、痛い、怖い、ヤダ、ヤダ。
待って……待って。
待────! 手を伸ばした時にはもう、目が覚めとった。身体中変な汗がびっしょり。
何で今更、ご先祖さまが夢に出てくるんや……? 分からんことばっかりで頭おかしなりそう……。