RECORD

Eno.367 日上 晴の記録

記憶

次に目が覚めた時は、見知らぬ場所にいた。
泊まっていたところとは違って、古くて雨音がやけによく聞こえる部屋だった。

どうしてここに、誰が運んだのだろう。
あれから他の人たちは、などと考えているうちに、

『…気がついたようね』



この家の縁側に、彼女がいた。

まさか、彼女が。
今の状況的にこの人が、としか考えられない。

またこうして会えるとは思えなかった。
だけど、いろいろ聞きたいことがあるのに、なぜか上手く話を切り出せない。

俺がなかなか話し出さないことに痺れを切らしたのか、彼女が口を開いた。

『ごめんなさい。』


『私が、無理やりにでもあなたたちを追い出せば良かった。』



…え。何を、言っている?
なんで、謝る必要があるんだ?
彼女は何を、この村には何があるんだ。

この時も、何も言えなかった俺の顔を見たからなのか、彼女は話を続けた。


それは、この時の俺にとって、信じられない話だった。


『ここは、裏世界の一部。ここの怪奇たちは、あなたたちを生贄にしているの。』