RECORD

Eno.608 五稜 拓海の記録

凶兆

「今日出掛けるから晩飯ええわ」


「ほーん、どこ行くん?」


「ツレと―――市の祭りいくねん」


「・・・―――市って、――神社のある川沿いの?」


「おん、よお知っとるな」


「まあ、ええわ。ほないってらっしゃーい」背中べシッ


「痛ぁ!なにすんじゃ!」


「知らへんの?気合注入や。」


「キモー」


「あぁ!?なんやとおどれ!帰ってきても鍵しめといたるぞ!」


「ごめんて、まあほなエアコンは25度までやからな?」


「ハイハイ。はよ行けシッシッ」



――――――

「ういーっす!」


「今日は遅刻しませんでしたか」


「バカ!お前俺は学習する男だっての」


「学習装置を持たせてあげるので岩を壊したり木を切る時以外でてこないでください」


「俺が主力を蘇生させるための場繋ぎしている事でチャンピョンになれたことを忘れるな?」


「フンっ、その後は選抜にも入らないのですから。これが最後の輝きですよ」


「つまり祭りとはチャンピョン戦?」


「屋台の食べ物で優勝するくらいの気構えですよ」


「相変わらず食い意地張ってるなあ。」


「うるさいですね、さあ行きますよ」



―――――

「さすがに駅前からでも混んでるなあ。大丈夫そうか?」


「・・・今のところは問題ありません。」


「念のためちょっと迂回していこうぜ?ついでにお茶でも買ってさ。」


「祭りで買うと割高ですしね。」



―――――

「・・・・・・なあ、なんか俺さっきから行き交う人々に見られてない?」


「ついに俺が浅葱市抱かれたい男ナンバーワン!ヤニーズジュニアのゴリョタクだって関東にまで伝わっちまったか?」


「・・・・・・」


「やめて?こーゆうボケはスルーされるとほんとマジ辛いからね?」


「私はツッコミの適正とかないですからね?」


「関東に染まるなよー。で、実際なんでチラチラみられてんだろね」


「さっきからあの茶髪の男、あんないたいけな小さな女の子連れまわしてマジー?」


「ロリコンだわー通報しました。とか言われてますね」


「ぜってぇ言ってねえよな?!」


「誰がロリ体形ですか。」


「お前だよ!言ったの!」


「?」


「そこで疑問符すな!」


「やっぱり貴方はボケよりツッコミですよ。」


「おいおい、俺のツッコミギアは2速くらいなのにアクセル踏みきってんじゃん」


「ター坊・・・人生何時でもフルスロットルに生きなきゃいけねえぜ・・・」


「お前が言うと洒落にならないんだよ、病弱女!」


「やれやれ、徐行運転のター坊にそれではなんで見られていたか教えてあげましょう」


「ん?ナニコレ。お札?」


「今日ずーっと貴方の背中に貼ってありましたよ?」


「いや気づいてたなら言えし!」


「えー?レシートタクって感じでいいかなーって」


「何がレシートタクだ!トカゲちゃうねんぞ!」ツーカホントニレシートノウラニカイテアルシ


「貴方もギア入ってきましたね。」



――――――

「お、祭の賑わいが聞こえてきたな。」


「こらこら、はしゃぎすぎないようにねター坊」


「オカンか!」


「アンタはホンマに・・・また部屋でそんな本ばっか見てー」


「うっせーな!ババア!ノックしろよ!」


「コンコン、私お母さん。今アンタの部屋の前にいるの」


「急にホラー始まってるやん」


「コンコン、私お母さん。今あなたの―――」


「後ろやろ?」


「残念、今あなたの、ぞいて家族で旅行に行く計画たててるのだけどお土産なにがいい?。でした。」


「ひど!」


「家族と旅行とかダセーしって貴方言ってそうですし。さ、ちょうどチェストの自販機がありますね。」


「お、ほんまや!俺エナジーガードにしよっと」


ポチッガタッ

「おう、オメーさんはなに・・・を―――。」



振り返るとアイツの姿は無かった。
周辺を探しても居ない。
電話にも出ない。
まるで、神隠しにでもあったみたいに忽然と姿を消した。