RECORD

Eno.249 遊暮 夏響の記録

まじない

「ぼく、ナツキみたいになれるかな」

僕と双子の姉ナツキは似ていない。

髪の色が違ければ、垂れ目がちな目も、瞳の色も違う。
何より似ていないのは​──────

「.............ズビ」
「.....ほら、キョウちゃん泣くナ〜〜
 可愛い顔がくしゃくしゃだよ〜」

僕は泣き虫で、ナツキはいつも明るく笑顔な点。
僕が泣いていると、決まって楽しい遊びを提案してくれる。暗くなった気持ちを明るくしてくれる。そんな人だ。

それともう1つ。
僕にはなくてナツキにはあるものがある。
それは、魔法みたいなとても不思議な力。
ニセモノを本物みたいにする力。

なんでも出来るって訳じゃないけれど、拾った木の枝が剣だと言えば、木の枝で草むらをバッサリと斬る。
紙飛行機が何処までも飛ぶと言ったら、全然落ちてこない。

何故かナツキ自身が驚いてばかりだけれど・・・
僕は驚かない。だってナツキは凄いんだから。
ナツキなら可能だろうと一人納得する。

いつも僕の事を守ってくれるし、いつだって笑顔で泣いた所なんて見た事がない。
どんなことだって遊びに変えるし、一緒にいれば何だって乗り越えられそうな気がする。

でも、時々思う。

僕が泣いてる時は、ナツキがいる。
​───ナツキが泣きたい時は、誰がいるのかな。

僕が不安な時、頼りになるナツキがいる。
​───ナツキが不安な時、誰に頼る?

笑顔のナツキが、いつだって僕を元気づけて​────


.................


​.....もしかして、僕のせいでナツキは無理をしてるのかな。


​───────
​────
​──

「ぼく、ナツキみたいになれるかな」

ナツキみたいになりたい。
いつも笑顔で、不安になんてさせないような子になりたい。
そんな想いで、いつかナツキに聞いた事。

「…なれるよ。
 だって、私たち双子だもん」

少し間をおいて、笑顔でそう答えてくれたナツキ。
単純だけれど、その言葉を聞いて胸が何だか軽くなった気がした。

「.....やっぱりナツキは凄いナ」

たった一言でなんでも出来る気がするんだから。