RECORD
Eno.608 五稜 拓海の記録

油断していました。
ここ数年、このような事に巻き込まれた事は無かった。
だからでしょうか…いや、彼と出会ってから私はやはり心に贅肉がついたのかもしれない。
人は満たされると、弱くなる。
そして…一度知った温もりを失いたくないと生き急ぐようになる――。
もう一度周辺を見回す。
誰もいない。
彼が私に何も言わずいきなり居なくなるわけがない。
なにより赤い空が広がり、先ほどまで居た街と似て非なる空間。
そして…彼と一緒に居る時と比べ物にならないスピードで私を神秘が蝕み始めている。
ここは―――裏側だ。
きっと自販機へ向かう際に四辻を通ったから。
まだ動けるうちに・・・なんとか。

後ろからかけられた声に、私の体が強く危険信号を鳴らした。
――――――
数時間ずっと探しっぱなしだ。
祭りの本部にも掛け合って町内放送もかけて貰ったが収穫はない。
アイツが俺に何も言わずどこかにいきなり行くわけがない。
誘拐か…?
俺がついていながら・・・。
アイツに何かあれば・・・俺は・・・!
自然とこぶしを血が出るほど握り込んでいた。
こんな事してる時間も無いというのに。
PiPiPiPi
電話が鳴った。
アイツかと藁にも縋る想いで電話に出る。

















―――――
あれからどれぐらい経ったのでしょうか、体感ではもう半日は逃げている気がします。
もう動けない・・・。
なんとか足搔いてみましたが―――私の最後はココのようですね。

わざと獲物を追い回す・・・まったく趣味の悪い、狩のつもりなのでしょうか。
生憎…私の体は限界です、もう…。



ドゴォン
-Photoroom.webp)
赤く黒いこの世界を穿つように青白い光を放つ彼の姿。
いつも私を蝕む彼のソレが、今は不思議と優しく照らす月光のようで――。


彼に抱きかかえられ、連れ帰られた。
祭りどころじゃないほどに衰弱しきった私は救急車に搬送されてお開きに。
きっと当分は面会謝絶でしょうね。
・・・あとどれくらい彼と一緒にいられるでしょうか。
祭り、行きたかったなあ・・・でも、彼と屋上で屋台の食べ物も食べれていましたし…。
それでいいか。
クレジット
怪奇アイコン:チャットGPT
きっと今日の事も何時か遠い夢幻の中に

「・・・!」
油断していました。
ここ数年、このような事に巻き込まれた事は無かった。
だからでしょうか…いや、彼と出会ってから私はやはり心に贅肉がついたのかもしれない。
人は満たされると、弱くなる。
そして…一度知った温もりを失いたくないと生き急ぐようになる――。
もう一度周辺を見回す。
誰もいない。
彼が私に何も言わずいきなり居なくなるわけがない。
なにより赤い空が広がり、先ほどまで居た街と似て非なる空間。
そして…彼と一緒に居る時と比べ物にならないスピードで私を神秘が蝕み始めている。
ここは―――裏側だ。
きっと自販機へ向かう際に四辻を通ったから。
まだ動けるうちに・・・なんとか。

「ネエ、ドコカラキタノォ?」
後ろからかけられた声に、私の体が強く危険信号を鳴らした。
――――――
数時間ずっと探しっぱなしだ。
祭りの本部にも掛け合って町内放送もかけて貰ったが収穫はない。
アイツが俺に何も言わずどこかにいきなり行くわけがない。
誘拐か…?
俺がついていながら・・・。
アイツに何かあれば・・・俺は・・・!
自然とこぶしを血が出るほど握り込んでいた。
こんな事してる時間も無いというのに。
PiPiPiPi
電話が鳴った。
アイツかと藁にも縋る想いで電話に出る。

「おい!無事か?!今どこにいるんだ!」

「おん、無事やで。そんなに心配してくれとん?嬉しいわ~」

「・・・・・・切るぞ」

「待て!待て!ホンマ待て!後悔すんど!?」

「なんだよ」

「その焦り様でなんとなくわかるわ、おどれのツレになんかあったんやろ?」

「そうだよ、お前と話してる暇なんてねえんだよ!」

「やろうなあ時間はあんまないかもしれん・・・いや、無効とこっちで時間をずらされとるならもう…」

「何が言いてんだよ!」

「分かった分かった!とりあえず説明言うぞ?ええな?なんで知っとるとかそーゆうのは帰ってきてからにせえ。」

「そこらへんで最近怪奇の目撃情報がある。
実際、一昨年そこらへんは台風の被害で神社が土砂で崩れてんねん。
んで、立て直しを行ったわけやがその際に色々古い建物はそのままかたずけられた。」

「それらがどうゆう建物やったかも知らんでな。
つまりやべーのが解き放たれてるんや。」

「せやけど目撃報告が数件。行方不明の報告は年に数件。
ただその前からその辺のガキがよお新宿のトー横とかに家でしとる事例があってどっちか分からんかった。」

「近所にどえらい事に絶賛なっとる街があるやろ?お前もよおしっとる。
そっちに目が向いて人が割かれて、不確定情報しかないそこは後回しになっとったってことや」

「じゃあ、アイツは裏にでも行ったってのかよ!」

「せやろな、おどれが血相描いて探し回っとるんは言動で分かるわ。
そんで見つかってないんやろ?それでお前に貼り付けた怪奇避けのレシートがおしゃかになったんも合わせたら。」

「十中八九、お前の小指ちゃんは裏やろ」
―――――
あれからどれぐらい経ったのでしょうか、体感ではもう半日は逃げている気がします。
もう動けない・・・。
なんとか足搔いてみましたが―――私の最後はココのようですね。

「ネエ、ソレチョウダイ。チョウダイ。」
わざと獲物を追い回す・・・まったく趣味の悪い、狩のつもりなのでしょうか。
生憎…私の体は限界です、もう…。



「?!」
ドゴォン
-Photoroom.webp)
「お待たせ。生きてるか?」
赤く黒いこの世界を穿つように青白い光を放つ彼の姿。
いつも私を蝕む彼のソレが、今は不思議と優しく照らす月光のようで――。

「ええ…」

「帰るぞ。」
彼に抱きかかえられ、連れ帰られた。
祭りどころじゃないほどに衰弱しきった私は救急車に搬送されてお開きに。
きっと当分は面会謝絶でしょうね。
・・・あとどれくらい彼と一緒にいられるでしょうか。
祭り、行きたかったなあ・・・でも、彼と屋上で屋台の食べ物も食べれていましたし…。
それでいいか。
クレジット
怪奇アイコン:チャットGPT