RECORD
Eno.251 鳴宮優希の記録
奏翔と穏やかに歩いていた。
いつも通りに帰ろうとしていた。
いつも通りの日常に、なるはずだったのに。
『──見ぃつけた』
もう二度と関わらないであろう人の声。
僕は暗闇に連れ込まれた。
お母さまの声で命令をされれば、
逆らうことなんて出来なかった。
◇
連れてこられた劇場で、暴力を振るわれた。
殴る蹴るは当たり前。痣だらけになった。
僕が逃げないようにって、両足首を深く傷付けられた。
痛かった。苦しかった。助けてと言った。泣いた。でもね。

泣けば暴力が酷くなるから。
わたしは一切の抵抗をやめて、嵐が過ぎ去るのを待つだけ。
飲まず食わず碌に手当てもされずに放置された。
やっぱり私は“悪い子”なんだって、諦念が胸を支配した。
◇
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お母さまによる“演目”が始まる。
最初の方の内容、覚えていないな。
流れる悪趣味なハッピーバースデー。
それはよく覚えていたけれど。
気付いたら奏翔が、仲間たちが駆け付けてきていて。
わたしは電飾コードから助け出されて。
お母さまが奏翔を馬鹿にした。
そしたら、わたしの中に怒りが生まれた。

傷だらけのまま前に進もうとするわたしを、
奏翔の月の光が癒してくれた。
その後、お母さまととうさんは怪奇になった。
みんなで戦った。奏翔の月の光が側にあった。
ふたりを追い詰めた。とうさんは土岐先輩が倒してくれた。
蒼真の降らせた雨が道筋をくれる。百華に力を託された。
わたしは、オマエを糾弾した。
奪われてきた人生。泣きたかったこと。
強い憎悪と憤怒を自覚した。
こんな感情、わたしの中にあったんだね。

胸の奥、復讐の悪魔が快哉を上げていた。
さぁ、その激情を解き放て!

氷の槍と白剣で、お母さまを貫いた。
わたしが、お母さまを殺したんだ。
その重荷を、胸に刻んだ。
その後、奏翔が半エンダー化して、
場を塗り替えてとある曲を演奏した。
“怒りの日”。奏翔が抱いていた怒りの大きさを、実感する。
お母さまたちはもう永遠に地獄の底。
せいせいしたけれど、胸の奥が痛んだ。
それでもやっぱりわたしは、お母さまが好きだったんだな。
さようなら。ハッピーバースデー。
お母さまたちの命日。
そしてわたしの檻が、消えた日。
夜宵の華に枯れの手を。
罰は下され、天秤は正された。
【14.夜宵の華に枯れの手を】
奏翔と穏やかに歩いていた。
いつも通りに帰ろうとしていた。
いつも通りの日常に、なるはずだったのに。
『──見ぃつけた』
もう二度と関わらないであろう人の声。
僕は暗闇に連れ込まれた。
お母さまの声で命令をされれば、
逆らうことなんて出来なかった。
◇
連れてこられた劇場で、暴力を振るわれた。
殴る蹴るは当たり前。痣だらけになった。
僕が逃げないようにって、両足首を深く傷付けられた。
痛かった。苦しかった。助けてと言った。泣いた。でもね。

「泣きたいのは私の方だよ!」
泣けば暴力が酷くなるから。
わたしは一切の抵抗をやめて、嵐が過ぎ去るのを待つだけ。
飲まず食わず碌に手当てもされずに放置された。
やっぱり私は“悪い子”なんだって、諦念が胸を支配した。
◇
──翌日。
お母さまによる“演目”が始まる。
最初の方の内容、覚えていないな。
流れる悪趣味なハッピーバースデー。
それはよく覚えていたけれど。
気付いたら奏翔が、仲間たちが駆け付けてきていて。
わたしは電飾コードから助け出されて。
お母さまが奏翔を馬鹿にした。
そしたら、わたしの中に怒りが生まれた。

「奏翔を……馬鹿に……する……な……!」
傷だらけのまま前に進もうとするわたしを、
奏翔の月の光が癒してくれた。
その後、お母さまととうさんは怪奇になった。
みんなで戦った。奏翔の月の光が側にあった。
ふたりを追い詰めた。とうさんは土岐先輩が倒してくれた。
蒼真の降らせた雨が道筋をくれる。百華に力を託された。
わたしは、オマエを糾弾した。
奪われてきた人生。泣きたかったこと。
強い憎悪と憤怒を自覚した。
こんな感情、わたしの中にあったんだね。

「──わたしはオマエに復讐する」
胸の奥、復讐の悪魔が快哉を上げていた。
さぁ、その激情を解き放て!

「──これより、正義を執行する!!!!!」
氷の槍と白剣で、お母さまを貫いた。
わたしが、お母さまを殺したんだ。
その重荷を、胸に刻んだ。
その後、奏翔が半エンダー化して、
場を塗り替えてとある曲を演奏した。
“怒りの日”。奏翔が抱いていた怒りの大きさを、実感する。
お母さまたちはもう永遠に地獄の底。
せいせいしたけれど、胸の奥が痛んだ。
それでもやっぱりわたしは、お母さまが好きだったんだな。
さようなら。ハッピーバースデー。
お母さまたちの命日。
そしてわたしの檻が、消えた日。
夜宵の華に枯れの手を。
罰は下され、天秤は正された。

「…………さよなら」