RECORD
Eno.279 葦原奏翔の記録
27:限られた手札と切り札【葦原奏翔】
怪奇となったあの母親と義父を始末した事に後悔は無い
ああ、無いな……微塵にも
奪われたのだ
壊されかけたのだ
結果論、優希は再起不能に至らなかっただけ、壊れなかっただけ、命を奪われなかっただけ
だがそうでなかったら…?
救えなかった責任は誰が取る?また俺が悪いと自責し絶望しろと?それこそふざけるなだが
誰かが責任持って治すわけでもないだろう、生き返らせれるわけもなし
そして今後もまた同様のことを否、より最悪な事をしてくるかもしれない奴等を看過出来るはずもない
あの2人は裏を知った
裏を知れば力を付けるのは明白
実際にあの2人は薬で自ら怪奇になり暴れ回った
人として己等がやった事を省みて静かに隠居でもしていればよかったものを
………そもそも表にて裏の事を明かすのはタブーだから前日の件で仮に人のままだった場合、正式に処罰されたかと言うと甚だ疑問だが
警察は、法は、人であるあの2人を裁けたか?
あの2人が省みる様に出来たか?
管理局の者達や裏で警察などの機関があるならばあの2人をどうにか対処できたのか?
結局、あの2人は追い詰められた末に怪奇になり
管理局が出した答えは"討伐許可"
それが全て
だから乗った
もう、終わらせたかったから
もう、懸念や危険因子を残したまま怯えて過ごしたくないから
俺を留めていた最後の砦は管理局からの承認によって無くなったから
大義名分が舞い込むようになった時点でな、もう終わりなんだよ
つくづく『理想』だけではどうにもならないと思い知らされる
世には法が、ルールがある
あの2人は人であり危険だから会ったり優希を会わせるのを避けよう
証拠を掻き集め
接近禁止命令など申請してもらい
あの2人は人だから憎たらしくて仕方ないがどうにか我慢を努めよう
"やりたくない事"なんて避けるべき、当たり前だろう
あの2人は命あるもので人権があるのだから線引きしよう
どうにか線引きして不干渉で居たい
我慢しようだが優希と共にある事と言いたいことは言うくらいは許して欲しい、それくらいは
あの2人は、あの2人は、あの2人は
人だから、人だから、命あるものだから
どうにか、どうにか、どうにか、と
俺は一体、どれだけ人で命ある彼奴等に譲歩したらよかったんだろうな
そしてそれは怪奇相手にもそう言える
どれだけ法やルールに則って回避や自衛手段を積もうにも
人・人外問わず其れ等を平気で踏みにじって害してくる無敵の存在達に俺はどうするのが最良だったかなんて俺が一番知りたい
命を奪う重さは大事だろう
だが結局、どうしたって限度があるものなのは事実
人とて人に害を成した、成そうとするのを止めなければ最悪、警察から撃たれ亡くなることもあるだろう……法により極刑だってある
熊などの獣とて人や家畜を襲ったなら最悪、駆除される
表も裏も変わらない
法やルールは其れこそ双方の共存の為にも無闇に命を奪わない為にも大事な線引きだろう
だから、此れで何か言われるようならもう力や手段がある者が止めればいいとしかならない
正しい奴が、出来る奴がやればいい
俺はそういったどれだけ回避や自衛をしても一線を踏み越え害を成してくる存在に対して拒絶、排除しか出来ない
忘れる事も、頼る事も、法的対処する事も
何から何まで踏み躙られ間違えてきてあまつさえ命や尊厳すら奪われかけた俺に唯一、成功出来たのはこれだけはとやりたくもなかった『拒絶と排除』、それだけだった 其れだけしか何かを護り、生き長らえた術を知らない
『誰もあの時のお前を救わなかったのになぁ?』と悪魔がその事実に嗤う
"誰か助けてくれよ、誰か、誰か………"なんてあの時、吐いた事もあった言葉は今となっては実にガキで馬鹿らしく滑稽極まりない、あの件はもう終わった話なのだから
結局、そんな裡をひた隠しにして法やルールも道具として扱いながら、他者を利用しながらどうにかやっていくしかない
そんな諦観と諦念と幾つかの支えの中で今日も生きているし生きていく
【葦原奏翔】
ああ、無いな……微塵にも
奪われたのだ
壊されかけたのだ
結果論、優希は再起不能に至らなかっただけ、壊れなかっただけ、命を奪われなかっただけ
だがそうでなかったら…?
救えなかった責任は誰が取る?また俺が悪いと自責し絶望しろと?それこそふざけるなだが
誰かが責任持って治すわけでもないだろう、生き返らせれるわけもなし
そして今後もまた同様のことを否、より最悪な事をしてくるかもしれない奴等を看過出来るはずもない
あの2人は裏を知った
裏を知れば力を付けるのは明白
実際にあの2人は薬で自ら怪奇になり暴れ回った
人として己等がやった事を省みて静かに隠居でもしていればよかったものを
………そもそも表にて裏の事を明かすのはタブーだから前日の件で仮に人のままだった場合、正式に処罰されたかと言うと甚だ疑問だが
警察は、法は、人であるあの2人を裁けたか?
あの2人が省みる様に出来たか?
管理局の者達や裏で警察などの機関があるならばあの2人をどうにか対処できたのか?
結局、あの2人は追い詰められた末に怪奇になり
管理局が出した答えは"討伐許可"
それが全て
だから乗った
もう、終わらせたかったから
もう、懸念や危険因子を残したまま怯えて過ごしたくないから
俺を留めていた最後の砦は管理局からの承認によって無くなったから
大義名分が舞い込むようになった時点でな、もう終わりなんだよ
つくづく『理想』だけではどうにもならないと思い知らされる
世には法が、ルールがある
あの2人は人であり危険だから会ったり優希を会わせるのを避けよう
証拠を掻き集め
接近禁止命令など申請してもらい
あの2人は人だから憎たらしくて仕方ないがどうにか我慢を努めよう
"やりたくない事"なんて避けるべき、当たり前だろう
あの2人は命あるもので人権があるのだから線引きしよう
どうにか線引きして不干渉で居たい
我慢しようだが優希と共にある事と言いたいことは言うくらいは許して欲しい、それくらいは
あの2人は、あの2人は、あの2人は
人だから、人だから、命あるものだから
どうにか、どうにか、どうにか、と
俺は一体、どれだけ人で命ある彼奴等に譲歩したらよかったんだろうな
そしてそれは怪奇相手にもそう言える
どれだけ法やルールに則って回避や自衛手段を積もうにも
人・人外問わず其れ等を平気で踏みにじって害してくる無敵の存在達に俺はどうするのが最良だったかなんて俺が一番知りたい
命を奪う重さは大事だろう
だが結局、どうしたって限度があるものなのは事実
人とて人に害を成した、成そうとするのを止めなければ最悪、警察から撃たれ亡くなることもあるだろう……法により極刑だってある
熊などの獣とて人や家畜を襲ったなら最悪、駆除される
表も裏も変わらない
法やルールは其れこそ双方の共存の為にも無闇に命を奪わない為にも大事な線引きだろう
だから、此れで何か言われるようならもう力や手段がある者が止めればいいとしかならない
正しい奴が、出来る奴がやればいい
俺はそういったどれだけ回避や自衛をしても一線を踏み越え害を成してくる存在に対して拒絶、排除しか出来ない
忘れる事も、頼る事も、法的対処する事も
何から何まで踏み躙られ間違えてきてあまつさえ命や尊厳すら奪われかけた俺に唯一、成功出来たのはこれだけはとやりたくもなかった『拒絶と排除』、それだけだった 其れだけしか何かを護り、生き長らえた術を知らない

「切れる手札が無ければ切れない
色々出来、強くて器用で良い結果を残せる奴等が心底、羨ましい限りだよ
怒りや憎しみを抱かずアレ以上の良い終末を用意できるんだろうから」
"誰か助けてくれよ、誰か、誰か………"なんてあの時、吐いた事もあった言葉は今となっては実にガキで馬鹿らしく滑稽極まりない、あの件はもう終わった話なのだから
結局、そんな裡をひた隠しにして法やルールも道具として扱いながら、他者を利用しながらどうにかやっていくしかない
そんな諦観と諦念と幾つかの支えの中で今日も生きているし生きていく
【葦原奏翔】