RECORD
Eno.98 十八成 玄の記録
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独り言にしては白々しい感想だった。
久し振りに来た、というのは間違ってないが。
気になったのはふなまつりで二人と集まった時。
めりいが向日葵畑の話題を口にしたからだ。
確かに俺たちは昔、
夏休みにあの向日葵畑に通っていた時期がある。
……正しくは、通り道にしていた時期が。
俺達が遊び場にしていたのはその奥の神社だった。
誰も居ない上に誰も来ないのをいい事に、
古びた神社をまるごと秘密基地みたいにしていた。
きっちり、お賽銭だけはして。
思い返せば、あの時点で既に裏世界へ
三人とも迷い込んでいたのかもしれない。
あるいは表にあったものが、裏へと移ったのか。
どちらにせよ、今も全てあの時のままだ。
向日葵畑も、神社も、全て。
アイツはここに来たのか?
蛇足・4
晴れ空の下。
向日葵畑の中を真っ直ぐ、何に導かれるでもなく進む。
大輪から溢れる笑い声にも、
葉が触れ合って自分を呼ぶ声にもとうに慣れていた。
「あち〜……」
なんで夏は暑いんだよ、なんて文句を言う資格はない。
これを望んでいるのは自分だ。
蝉時雨と太陽の光を浴びながら進む。
なんとなく少し振り向けば、
陽炎の隙間に子供の姿が見える。
「……………………、」
呼ばれている。
何も言わず、前を向いた。
独り言にしては白々しい感想だった。
久し振りに来た、というのは間違ってないが。
気になったのはふなまつりで二人と集まった時。
めりいが向日葵畑の話題を口にしたからだ。
確かに俺たちは昔、
夏休みにあの向日葵畑に通っていた時期がある。
……正しくは、通り道にしていた時期が。
俺達が遊び場にしていたのはその奥の神社だった。
誰も居ない上に誰も来ないのをいい事に、
古びた神社をまるごと秘密基地みたいにしていた。
きっちり、お賽銭だけはして。
思い返せば、あの時点で既に裏世界へ
三人とも迷い込んでいたのかもしれない。
あるいは表にあったものが、裏へと移ったのか。
どちらにせよ、今も全てあの時のままだ。
向日葵畑も、神社も、全て。
アイツはここに来たのか?

