RECORD

Eno.714 遠森山くちばの記録

閑話

 
とある会話の一幕

「……そっか」
「友達にめぐまれたんだね」



その子はうちとは違う、真っ当に裏世界アザーサイドに向き合い、
立ち入り、……その先どうするのかまでは本家の動きを知ろうと思えばすぐだろうけど今はまだ知らない。

むしろ個人的に関り、熱をあげて研究する人は少なくないだろうけど、
それを軸に据えた家……成果が向こう側で使われることがあってもこの名字の者が立ち入ることは少ない。
……茜さんみたいな一部以外はほうが『かわりもの』

それでもあの葬式から、私はこっちに、と決めていたから
もしもを考えて、必要以上に人に踏み込まないことにした。
幸い、高専なら、勉強を教え合うことはあってもみんな自分の好きなことに取り組んでいて。
それでも学士課程まで進めば、これまでは軽く話す程度だったけど……
……なんてこともあるかもしれない。
同じ研究室ゼミになると人付き合いの濃度が変わる。
将来のために、と親戚が集まる場で聞けば皆そんな話をしてくれた。


だから私は束都京帝大学を受験した


それも今や2年。
卒論のためのゼミ所属は避けられないが、高専があるのにわざわざ?といった工学系や
就職に不利なんて言われる人文系であまり研究室にいないようにすれば。
それからはその時やりたいことに合わせて……
って感じで上手く組めていたはずなんだけどなあ~

おっとずれてきたね。
最初に触れた子。
彼女はもしかすると自分の身に起きていることを受け入れ、
私より先に去ってしまうのかと思ったけど、そうではなかった。

「…わたしがまだ、わたしで、いられるように…」


だからもしもの時は、うちの本家(遠森山でも何件かあるけど一番デカくて有名な家)を使えばいい、って話して。

「そうですね……正直なところ、迷いはあったんですよ。
このまま、この地に溶けて消えていったほうが、幸せな気持ちでいられるんじゃないかなって」

「でも、前に進むために、力を貸してくれる人が
いまでは、たくさん…いるから。

時間が許す限り、私は歩き、あがいてみようって、思って」


そう語る笑顔が素直に羨ましくて、頑張って欲しくて。
そうしたら

「そうですね」
「とても、たくさんの。お友達に恵まれました、ね」
「そして」

「くちばさんにそう言っていただけるの、とても、とても嬉しいですよ、私」




ああ、
そうだ。だれにも、なんて。無理なんだ。
だったら私も、もう少し_________________
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